保育園に行くと風邪ばかり…1歳児が頻繁に発熱する理由と正常範囲
赤ちゃんの健康を写真1枚で確認
無料で始める今年に入って、お子さんが何回体調を崩したか数えてみたことはありますか。保育園に通い始めてから鼻水の乾く日がなく、やっと治ったと思ったら三日後にはまた発熱。ですのでまず数字からお伝えします。米国小児科学会(AAP)は、生後2年間は年に8〜10回かぜをひくことがめずらしくないと説明しています。小さな子ども全般では年6〜10回程度が正常範囲とされ、日本の小児科の現場でも、この時期に年8〜10回ほど繰り返すお子さんは決してまれではないと説明されることがあります。月に一度のペースに感じられても、多くの場合それは免疫が壊れているのではなく、いま仕事を覚えている最中なのです。
この時期は「保育園の洗礼」と呼ばれることがありますね。一度大きな熱を出せば終わる特定の病気ではなく、1歳前後に病気を繰り返す時期そのものを指す言い方です。ですから「いつ終わるのか」という問いの答えも、カレンダー上の一日ではなく、この時期をどう見分けて乗り切るかになります。この記事では、どこまでが正常範囲なのか、どんなサインが出たら本当に検査が必要なのか、そして免疫によいとされるもののうち何に根拠があるのかを順にお伝えします。
💡 小さな子どもは年6〜10回、生後2年間は年8〜10回のかぜまでが正常範囲とされています。1回あたり7〜10日続くこともよくあります。体調を崩す合間にしっかり食べて元気に遊んでいれば、回数だけを心配しなくて大丈夫ですよ。どうしてこの時期に集中するのでしょう?
偶然ではありません。まったく別の二つのことが、ちょうど同じ時期に重なるからです。

一つめは免疫の空白期です。赤ちゃんはお母さんから受け取った移行抗体を持って生まれますが、この抗体は生後4〜8か月のあいだにゆるやかに減っていきます。一方で赤ちゃん自身がつくる免疫は、まだ経験がありません。なぜなら免疫は、一度出会った病原体を記憶するというかたちで育つからです。出会ったことがなければ、覚えておくものもないのですね。借りていた盾が薄くなる一方で、自分の盾はまだ製作中という区間が生まれるわけです。
二つめは、外の世界に触れる量が急に増える時期がちょうどここだということです。1歳前後で保育園に通い始め、児童館に行き、公園でほかのお子さんと過ごすようになります。かぜを起こすウイルスだけでも200種類を超えます。お子さんから見れば、生まれて初めて出会うウイルスが数か月のあいだに一気に押し寄せる状態ですから、一つずつ経験していくしかありません。
一つだけ整理しておきますね。この時期の発熱をすべて突発性発疹だと思ったり、歯ぐずりのせいにしたりすることがありますが、どちらも正確ではありません。突発性発疹は、3〜4日の高熱のあと熱が下がる頃にピンクの発疹が出る特定のウイルス性の病気ひとつです。そして歯が生えることで高熱が出ることはありません。いま起きているのは一つの病気ではなく、別々の感染が続いている状態です。突発性発疹そのものについては赤ちゃんの突発性発疹にまとめてあります。
うちの子だけ体調を崩しやすいのでしょうか?
いま一番気になっているのは、おそらくここですよね。調査の仕方によって数字は多少ちがいますが、下の範囲に収まっていれば、おおむね平均的な経過です。

| 区分 | 年間のかぜの回数 | 備考 |
|---|---|---|
| 小さな子ども全般 | 年6〜10回 | 広く示される正常範囲 |
| 生後2年間 | 年8〜10回 | AAPの示す目安 |
| 家庭で過ごすお子さん | 上の範囲の少ないほう | 毎日接する人数が少ないためです |
| 保育園に通うお子さん | 上の範囲の多いほう、またはそれ以上 | 通い始めの1年目がいちばん多くなります |
| 1回あたりの期間 | 7〜10日 | 咳はほかの症状より数日長引くことがあります |
保護者の方をいちばん消耗させるのは、実は回数そのものより偏りです。年8〜10回が1年に均等に散らばるわけではなく、秋から冬に集中するからです。その時期は体感としてほぼ毎月、月によっては一か月じゅう具合が悪いように感じられます。1回が7〜10日続くところに、治った直後に次のかぜをもらうと、二つのかぜが一続きに見えてしまうのですね。治らずにずっと具合が悪いように見えて、実際には新しい感染が始まっていることが多いのです。
ですから回数と一緒に見ていただきたいことがあります。体調を崩す合間に、お子さんが元どおりに戻っているかどうかです。熱が下がればまたよく食べ、よく遊び、よく眠っているか。身長と体重が成長曲線に沿って伸びているか。この二つが保たれていれば、回数がやや多くても正常範囲であることがほとんどです。
保育園に通い始めてから、なぜこんなに増えたのでしょう?
この年齢の子どもたちは、感染を広げるという点では最適な条件がそろっています。手に触れたものを何でも口に運び、おもちゃを口移しのように共有し、まだ自分で手を洗えず、くしゃみを手で覆うこともできません。一つの部屋に10人いれば、一人がもらったウイルスが数日でほかの子へ回ります。しかもかぜは症状が出る前日からうつるため、具合の悪い子を休ませることは大切ですが、それだけですべてを防ぐことはできません。
うれしいのは、この状態がずっと続くわけではないということです。ある追跡研究でも、集団生活を始めた初期に感染がもっとも多く、時間の経過とともに減っていく流れが観察されています。理由は単純で、お子さんが初めて出会うべきウイルスの数は無限ではなく、一度経験したウイルスには免疫の記憶が残るからです。そこに、手洗いを覚え、手を口に入れる回数が減るという成長の変化が加わります。ですから通い始めの1年目がいちばん大変で、2年目からは確実に楽になっていきます。
いま経験している頻度が、このまま続くわけではありません。それだけでもこの時期は少し受け止めやすくなりますね。
「今たくさん病気をすれば後で強くなる」は本当でしょうか?
半分は本当で、半分はちがいます。この話の根拠としてよく引かれる研究は実在しますが、中身は伝わっている印象よりずっと慎重です。
米国のツーソンで、1,000人以上の子どもを生まれたときから10代まで追いかけた研究があり、NEJMに発表されています。年上のきょうだいがいる子、あるいは生後6か月より前に保育施設に通った子は、学童期以降にぜんそくや頻繁なぜん鳴を起こす割合が低いという結果でした。年上のきょうだいが一人増えるごとに、リスクがおよそ20%低くなる程度(相対危険度0.8)です。こうした観察を説明しようとするのが衛生仮説で、幼いうちにさまざまな微生物に触れる経験が免疫の調整に関わっているのではないかという考え方です。ただし、これはまだ仮説だという点ははっきりさせておきますね。
大切なのは、同じ研究が示したもう一方の側面です。その子どもたちは、2歳になるまではむしろぜん鳴が多かったのです。つまりこれは無料の利益ではなく、先に支払って後で返ってくるかもしれない取引に近く、しかもすべての子に同じように返るわけでもありません。たくさん病気をするほどよい、という言い方をこの研究が支えているわけではないのです。
⚠️ この研究を理由に、わざと感染に触れさせるのはやめてくださいね。同じ子どもたちは2歳前にはむしろぜん鳴が多く、なにより予防接種で防げる病気は、かかって乗り越えるのではなく前もって防ぐほうが適切です。この時期によく出会う五つ
この時期に病院で聞く診断名は、たいてい次の五つに収まります。それぞれ別の記事にまとめてありますので、必要なときにご覧ください。
- かぜ: 圧倒的に多いです。鼻水、咳、微熱から始まり7〜10日で回復します。症状ごとの対処は赤ちゃんの風邪症状と対処法にあります。
- 中耳炎: かぜのあとに続いて起こりやすい病気です。3歳までに約80%の子が一度は経験するほど多く、話せない赤ちゃんは耳をしきりに触ってぐずることで伝えます。赤ちゃんの中耳炎をご覧ください。
- 突発性発疹: 3〜4日の高熱のあと、熱が下がる頃にピンクの発疹が出ます。熱が高くて驚きますが、多くは自然に治ります。突発性発疹ガイドに詳しく書いています。
- 手足口病: 手のひら、足の裏、口の中に水疱ができ、痛くて食べられなくなります。保育園で大きく流行する代表的な病気です。手足口病の症状とケアをどうぞ。
- 胃腸炎: ロタウイルスやノロウイルスによる嘔吐と下痢です。ここでは脱水を防ぐことがすべてになります。ロタ・ノロウイルス胃腸炎ガイドに対処法があります。
ここからは一度確認してみてください
よく体調を崩すお子さんの大多数は問題ありません。まれに免疫そのものに原因がある場合、そのサインは「どれくらい頻繁か」よりも「どんなふうに具合が悪くなるか」に表れます。国際的に使われている見極めの基準を、通常の経過と並べてみますね。

| 見る項目 | おおむね正常 | 確認が必要なサイン |
|---|---|---|
| 感染の回数 | 年6〜10回のかぜ、通園1年目はさらに多い | 1年に中耳炎が4回以上 |
| 感染の種類 | かぜや胃腸炎など、ありふれたウイルス感染 | 1年に肺炎や副鼻腔炎が2回以上 |
| 治療への反応 | 7〜10日で回復し、薬が効く | 抗菌薬を2か月以上使っても治らない |
| 成長 | 身長と体重が成長曲線に沿っている | 体重が増えない、曲線から外れていく |
| 合間の様子 | 治れば普段どおりよく食べ、元気に遊ぶ | 深い部位の感染や皮膚の膿瘍をくり返す |

右の列を見て驚かないでくださいね。この基準はよくある状態を見つけるためではなく、非常にまれな先天性の免疫不全を見落とさないための網としてつくられたものです。そして一つ当てはまるだけで問題になるわけではありません。1年に中耳炎を4回起こしたお子さんも、ほとんどは免疫に異常がありません。見え方が変わるのは、右の列のうち2つ以上が一緒に見られるときです。
⚠️ 右の列の項目が2つ以上当てはまる場合は、小児科で相談してみてください。とくに、感染が多いことに加えて体重が増えないサインが重なるときが、いちばん大切な組み合わせです。今すぐ受診が必要なサイン
ここまでは数か月単位で見るお話でした。次に挙げるのは、今夜判断すべきサインです。一つでも当てはまれば、回数に関係なくすぐに受診してください。
- 生後3か月未満で38℃以上の発熱があるとき: この時期は熱そのものが緊急のサインです。解熱剤を先に使わず、すぐ受診してください。
- 呼吸が苦しそうなとき: 息をするたびに肋骨のあいだや首の下がへこむ、小鼻がぴくぴく開く、唇や爪が青白いときです。
- 起こしてもぐったりして反応が乏しいとき: 熱が下がったのに目が合わず、ぐったりしているなら様子を見ないでください。
- 脱水が疑われるとき: 8時間以上おしっこが出ない、泣いても涙が出ない、口の中がからからのときです。
- けいれんがあるとき: 初めてのけいれん、または5分以上続く場合はすぐに119番へ連絡してください。
- 熱が5日以上続くとき: 機嫌がよさそうでも、原因を確かめる必要があります。
体温ごとの対処は赤ちゃんの発熱対処法に、救急を受診すべきかの判断は赤ちゃんの救急受診の目安にまとめています。
⚠️ 生後3か月未満の38℃以上の発熱、呼吸困難、起こしても反応が乏しいぐったり、5分を超えるけいれんは、待つという選択肢がありません。夜間なら119番に相談するか、そのまま救急へ向かってください。家庭で本当に役立つことと、お金だけかかること
この時期に保護者の方がいちばん調べるのが、免疫力を高める方法です。ところが、根拠のあるものとないものの差は思いのほかはっきりしています。
| 根拠がはっきりしていること | 根拠が乏しい、または役に立たないこと |
|---|---|
| 石けんで30秒以上の手洗い | 免疫力をうたう子ども向けサプリメント |
| 予防接種のスケジュールを守る(インフルエンザを含む) | 機能性表示食品を効果が確認された薬のように考えること |
| 十分な睡眠と規則正しい生活 | かぜに抗菌薬を出してほしいと頼むこと |
| 具合が悪いときは無理に登園しない | 不足がないのにビタミンを高用量で与えること |
| 受動喫煙を避ける | 室内を過度に暑く乾燥させること |
右の列を少し補足しますね。機能性表示食品は事業者が届け出る制度で、国が個別に審査して認めたものではありません。ですから表示に自信のある言葉が並んでいても、それ自体は効果の証明ではないのです。厚生労働省のeJIMでも、小児へのサプリメント使用は慎重に考えるよう案内されています。抗菌薬はまた別の問題で、細菌に効く薬ですからウイルスによるかぜには効きません。必要のないときに使うと、本当に必要になったときに効きにくくなることもあります。ビタミンも同じ理屈で、不足を補うものであって、多く与えれば感染が減るわけではありません。とくに脂溶性ビタミンは体にたまるため、自己判断で増やすとかえって危険です。
母乳、ビタミンD、予防接種のように実際に根拠のある方法については、赤ちゃんの免疫力を高める方法に詳しくまとめてありますので、そちらをご覧ください。
💡 この時期にいちばん安くて確実な方法は手洗いです。保育所の感染症対策の考え方でも、石けんを使って30秒以上洗うことがすすめられています。外から帰ったとき、食事の前、おむつ替えのあとは、お子さんの手と大人の手の両方を洗ってあげてくださいね。何回目の感染だったかは、記憶では数えられません
先ほどのサインを確認するには、結局この1年で何回だったかを知る必要があります。ところが必死で過ごしているうちに、今回が中耳炎の3回目なのか4回目なのか、まったく思い出せなくなりますよね。診察室で「よく熱を出します」としか言えなくなるのはそのためです。ベビスナにその都度残しておくと、この会話が数字に変わります。
- 今年に入って何回目の感染か: 体温と症状を記録しておけば、回数がそのまま数えられます。
- そのうち中耳炎は何回か: 診断名も一緒に残しておくと、年4回という基準を実際に照らし合わせられます。
- 今回は何日目か: 熱が出た日から数えられるので、7〜10日の範囲を超えているかが一目でわかります。
ここに身長と体重の記録も一緒に残しておけば、感染の多さと成長の停滞が重なっていないかも見落とさずに確認できますよ。
よくある質問(FAQ)
Q: この病気ばかりの時期はいつまで続きますか?
A: 決まった終わりの日はありませんが、保育園に通い始めた1年目がもっとも多く、そこから徐々に減っていきます。ある追跡研究でも、集団生活を始めた初期に感染が最多で、時間とともに減少しました。手洗いを覚え、一度かかったウイルスに免疫の記憶が積み重なることで、2年目からは確実に楽になります。
Q: 1年に何回くらいまでが正常なのでしょうか?
A: 小さな子どもでは年6〜10回のかぜが正常範囲とされ、AAPは生後2年間は年8〜10回がめずらしくないと示しています。1回あたり7〜10日続くこともよくあります。回数より大切なのは、合間に普段どおりよく食べて元気に遊び、体重が成長曲線に沿って増えているかどうかです。
Q: 具合が悪いとき保育園を休めば、病気は減りますか?
A: 具合が悪いあいだ休むことは、お子さんの回復とほかのお子さんを守るために必要です。ただしかぜは症状が出る前日からうつるため、休むことだけで完全には防げません。石けんで30秒以上の手洗いと、予防接種を予定どおり受けることのほうが確実な方法です。
Q: 免疫力にいいというサプリメントを飲ませれば体調を崩しにくくなりますか?
A: 根拠は十分ではありません。機能性表示食品は事業者の届け出制で、国が個別に審査して認めたものではないため、表示は効果の証明にはなりません。不足のない子どもにビタミンを高用量で与えても役に立たず、脂溶性ビタミンは体にたまるため、かえって危険なことがあります。
参考文献

医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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