離乳食のじゃがいも:初期・中期・後期の形と量、芽と緑の落とし方

授乳量、もう覚えておかなくて大丈夫
無料で始めるじゃがいもを離乳食に使おうと調べると、レシピばかりが出てきます。知りたいのはそこではなくて、芽はどこまで取ればいいのか、緑がかっていたら捨てるべきなのか、なぜうちの子はじゃがいもでオエッとなるのか、ではないでしょうか。この記事はその三つから答えます。先に結論を言うと、じゃがいもはおかゆに慣れた離乳初期から使えて、危ないのはじゃがいも自体ではなく、芽と緑の部分と、とても小さないもです。
じゃがいもはいつから
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳の開始をおかゆ(米)からとしたうえで、「慣れてきたらじゃがいもや人参等の野菜」と書いています。国の資料が名前を挙げて示している、最初に増やす野菜のひとつなんですね。つまり生後5〜6か月頃の離乳初期から、おかゆに慣れた段階で始められます。
新しい食品は離乳食用のスプーンで1さじずつ与えて、子どもの様子をみながら量を増やしていきます。
💡 アレルギーが心配で始めるのを遅らせる必要はありません。ガイドには「食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない」と明記されています。月齢別の形と量
| 時期 | 調理形態(公式) | 硬さの目安(実物) | 量の目安 |
|---|---|---|---|
| 初期 5〜6か月 | なめらかにすりつぶした状態 | ペースト状 | 公的なg基準なし。1日1回1さじずつ |
| 中期 7〜8か月 | 舌でつぶせる固さ | 豆腐ぐらい | 野菜・果物で20〜30g |
| 後期 9〜11か月 | 歯ぐきでつぶせる固さ | 食べごろのバナナ | 野菜・果物で30〜40g |
| 完了期 12〜18か月 | 歯ぐきで噛める固さ | 肉団子ぐらい | 野菜・果物で40〜50g |
表について二つだけ補足します。ひとつめ、量の欄は「野菜・果物」を合わせた1回分であって、じゃがいも1つの取り分ではありません。20〜30gをじゃがいもだけに使うと、他の野菜が入る場所がなくなってしまいます。
ふたつめ、レシピサイトでよく見る「2〜3mm角」「5mm角」といった表記は、公的な基準ではなくレシピ媒体の慣行値です。国の資料は大きさをミリで決めず、「舌でつぶせる」「歯ぐきでつぶせる」のように誰がつぶすかで決めています。ガイド自身も表の冒頭で「あくまでも目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整する」と断っています。


大きさに迷ったら、同じ月齢向けの市販のベビーフードを一度開けて比べてみてください。ガイドのコラムも「ベビーフードの食材の大きさ、固さ、とろみ、味付け等が、離乳食を手づくりする際の参考に」なると書いています。
なお、じゃがいもの分類は資料によって置き場所が違います。支援ガイドは進める順番の話をするときに「じゃがいもや人参等の野菜」と書きますが、同じ事業でつくられた保護者向けの「離乳スタートガイド」は、栄養の3グループ図でいもを米・パン・めん類と同じ炭水化物(エネルギーになるもの)の側に置いています。矛盾ではなく、見ている軸が違うんですね。量の目安として使えるのは「野菜・果物」の欄です。
芽と緑の部分、なぜ「厚くむく」のか
じゃがいもにはソラニンとチャコニンという天然の毒素が含まれます。ふつうに食べる部分は100gあたり平均7.5mg程度で問題になりませんが、緑色になった部分は100gあたり100mgを超えます。通常の可食部の13倍を超える濃度です。
もっと具体的な数字もあります。東京都の調査では、メークイン(Mサイズ、約100g)の皮質部が1kgあたり640mg、髄質部が6.7mgと、約96倍の差がありました。男爵は330対12、キタアカリは280対8.6です。つまり毒素は皮の側に偏っているんですね。

守るルールは五つです。
1. 芽が出ていたり緑色になったものは買わない。 選ぶ段階で外すのが一番確実です。
2. 芽は周辺部を含めてしっかり取り除く。 農林水産省は「周辺部を含めて芽をしっかり取り除き、緑色の部分がなくなるまで皮を厚くむいてから調理しましょう」としています。「芽の周り何ミリ」という公的な数字はありません。
3. 赤ちゃんに食べさせるなら皮をむく。 農林水産省は、適切に栽培・管理されたじゃがいもなら大人は皮ごと食べても問題ないとしたうえで、「小さなお子様が召し上がる場合など、毒素の量をより減らしたいのであれば、念のため、皮を除くとよいでしょう」と書いています。
4. 緑色は「なくなるまで」深くむく。1mmでは足りない。 正常なじゃがいもなら皮を1mmむいた後の濃度は低いという報告がありますが、その1mmは芽も緑変もない正常ないも限定の話です。緑変部に1mmを当てはめてはいけません。海外では皮むきで25〜75%の毒素を除けるという報告もあります。
5. 小さすぎるじゃがいもは使わない。 同じ調査で、メークインのSSサイズ(約30g)は丸ごとで1kgあたり410mg、Mサイズ(約100g)は180mgと2.3倍の差がありました。
⚠️ 加熱しても分解されません。ソラニンとチャコニンが分解し始めるのは170℃以上で、ゆでる・蒸す・レンジはいずれも100℃前後です。下ごしらえで取り除く以外に方法はありません。実際の事故は家庭菜園と学校でほとんど起きています。厚生労働省と農林水産省によると、国内で報告されたじゃがいもの食中毒の多くは、学校や家庭の菜園で収穫したいもによるもので、学校で栽培したいもを調理実習で食べた例が目立ちます。直径3cm・約20gの未熟ないもを食べた小学生6人が15分から1時間で吐き気と嘔吐を起こした事例も公表されています。スーパーで買ったふつうの大きさのいもは、芽や緑がなければ毒素の濃度は低く、家庭での食中毒の報告もあまりありません。避けるのは家庭菜園の小さい未熟ないも、芽、緑です。食べて30分から半日ほどの間に吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが出たら、すぐに医療機関を受診してください。ぐったりしている、呼吸が苦しそう、けいれんが止まらない、1歳未満で何度も吐く、のどれかがあれば、すぐに119番に電話してください。
オエッとなるのはなぜ
じゃがいもで特にオエッとなるなら、気のせいではありません。じゃがいもは冷めると粘りが出て、唾液を吸って口の中でまとまりにくくなる性質があります。飲み込みにくい状態になるんですね。
原因はでんぷんです。冷めてからつぶすと細胞が離れにくいので力で押すことになり、細胞膜が破れてでんぷんが漏れ出して糊のようになります。熱いうちにつぶせば細胞が丸ごと分かれて、ほくほくのままです。
🔑 だからじゃがいもは、ミキサーにかけてはいけない唯一の離乳食材料です。他の野菜は回して大丈夫ですが、じゃがいもは細胞壁が壊れてでんぷんが出て固まり、その変化は元に戻せません。熱いうちにフォークや裏ごしで押しつぶしてください。戻し方は簡単です。温め直して温度と水分を戻し、ゆで汁やだしでのばします。ゆで汁を使うのは、芽と緑を取り皮をむいてからゆでたときだけにしてください。ソラニンやチャコニンは水に溶けるので、皮ごとゆでた湯には毒素が一部溶け出している可能性があります。皮をむいてゆでた汁なら、ゆでる過程で出ていったカリウムやビタミンCを一部戻す効果もあります。じゃがいもを水煮するとカリウムは100gあたり410mgから340mgへ、ビタミンCは28mgから18mgへ減りますから。
だしは塩分を加えない、昆布やかつお節からとったものを使いましょう。こども家庭庁が掲載する「離乳スタートガイド」の別添スケジュールも、初期は「調味料は使わずに、出汁と素材の味を生かしましょう」としています。
オエッ(えずき)と本当のむせは違います。音が出て顔が赤くなり自分で押し出していればえずきで、声や音が出ない、息ができない、顔色や唇が青白い・紫色になる、のどれかがあれば喉に詰まっています。119番通報を誰かに頼み、すぐに背部叩打法を始めてください(1歳未満は胸部突き上げ法と5回ずつ交互に、1歳以上で出てこなければ腹部突き上げ法)。見分け方は離乳食でオエッとなるときにまとめてあります。
窒息を防ぐ切り方・食べさせ方
| 危ない形 | 安全な形 |
|---|---|
| 冷めてぱさついたマッシュ | 温め直して温度と水分を戻したマッシュ |
| 水分なしで固くつぶしたもの | ゆで汁・だしでのばしたもの |
| ミキサーで回したもの | 熱いうちに押しつぶしたもの |
| ゆでただけのスティック | まとめて焼いた小判型 |
| 小さくて未熟ないも | Mサイズ以上 |

国のガイドラインは、誤嚥しやすい食品の性質として粘着性が高いもの・唾液を吸うもの・口の中でばらばらになりやすいものを挙げ、「粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらい食材」の例にふかし芋や焼き芋を載せています。挙げられているのはさつま芋ですが、じゃがいもも同じ性質を持ちます。対策として示されているのは「水分を取ってのどを潤してから食べること」「つめ込みすぎないこと」「よく噛むこと」の三つです。
じゃがいもは、この性質のうち複数に同時に当てはまる珍しい食材です。つぶせば粘着性が上がって唾液を吸い、スティックに切れば口の中でばらばらになります。これは公的な文書に書かれていることではなく、じゃがいもの性質から見た私たちの読みです。
手づかみ食べは生後9か月頃から始まる行動で、ガイドも積極的にさせたい行動としています。公式資料は「初めはスティック状のゆで野菜などからスタート」とすすめますが、じゃがいもはこの助言がそのままは当てはまりません。手に握ると崩れて、崩れた粒が口の中で散らばるからです。じゃがいもはつぶして小判型にまとめ、表面を焼くと形が保てます。

大きさの感覚も持っておくと安心です。赤ちゃんの気管の直径は1cmに満たないとされています。大人が約2cmなので半分ですね。「1cm角に切ったから大丈夫」という判断は、臼歯のない時期には成り立ちません。
参考までに、食品による子どもの窒息死103件のうち0歳が49件(47%)を占めます。そして東京消防庁の統計では0歳の中でも9か月がもっとも多い。手づかみ食べが始まる時期と重なっています。
下ごしらえと冷凍
手順はこうです。Mサイズ以上で芽と緑のないものを選び、芽は周辺部ごと取り除き、緑はなくなるまで厚くむき、皮をむいて、ゆでるか蒸して、熱いうちに練らずに押しつぶし、ゆで汁やだしでのばして、小分けにして冷凍します。
水にさらすのは変色と表面のでんぷんを減らす目的で、毒素対策ではありません。短めにしてください。
冷凍は五つを守ります。 購入した日に新鮮なうちに調理する、しっかり加熱して冷ましてから冷凍する、使うときは必ず中まで再加熱し、よく混ぜて冷まし、温度を確かめてから与える、一度解凍したものは再冷凍しない、1週間以内に使い切る。生ぬるい温度では細菌が繁殖しますし、再加熱は細菌を死滅させるために必要です。
塊や角切りのまま凍らせるとぱさついたり水っぽくなるので、つぶした状態で大さじ1ずつ小分けにするのがおすすめです。じゃがいもの可食部は水分が79.8%あって、凍るとその水が氷の結晶になり組織を内側から押し広げるからです。解凍後にぱさついていたら、お湯やだしでのばしてください。
アレルギーは
じゃがいもは表示対象の29品目に入っていません。表示義務の9品目にも、表示推奨の20品目にもありません。やまいもは推奨20品目に入っていますが、じゃがいもは別です。消費者庁の6,033例の全国調査でも、0歳の原因食品の95.6%は鶏卵・牛乳・小麦で、じゃがいもは品目名として挙がっていません。
ただ「まれだから安心」より大事なのは進め方です。新しい食品は1さじずつ、様子をみながら。症状が出たら自己判断で続けず、必ず医師の診断に基づいて進めてください。食べたあとに口の中や顔が腫れる、ゼーゼーする・息がしにくい、繰り返し吐く、唇や爪が青白い、ぐったりしている、のどれか一つでもあれば、受診を待たずにすぐに119番に電話してください。
ベビスナでじゃがいもの反応を記録する
- 新しい食材を与えた日と量を記録して、反応が出たときに原因を絞り込めます
- オエッ・発疹・嘔吐を写真とあわせて残し、受診時に見せられます
- いつ形態を上げたかを残して、次の段階のタイミングを逃しません
よくある質問(FAQ)
Q: 離乳食のじゃがいもはいつから食べさせていいですか?
A: 厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は離乳の開始をおかゆ(米)からとし、「慣れてきたらじゃがいもや人参等の野菜」と書いています。つまり生後5〜6か月頃の離乳初期から、おかゆに慣れた段階で始められます。新しい食品は離乳食用のスプーンで1さじずつ与え、様子を見ながら増やします。初期の形態は「なめらかにすりつぶした状態」で、量の公的な目安(グラム)は決められていません。
Q: じゃがいもの芽や緑の部分は、どこまで取り除けばいいですか?
A: 農林水産省は「周辺部を含めて芽をしっかり取り除き、緑色の部分がなくなるまで皮を厚くむいてから調理」としています。「芽の周り何ミリ」という公的な数字はありません。緑になった部分は100gあたり100mg以上と、ふつうの可食部の平均7.5mgの13倍を超える濃度です。東京都の調査ではメークインの皮質部が1kgあたり640mg、髄質部が6.7mgと約96倍の差でした。赤ちゃんに与えるものは皮をむくことも公的にすすめられています。
Q: じゃがいもを食べさせるとオエッとなります。どうすればいいですか?
A: じゃがいもは冷めると粘りが出て、唾液を吸って口の中でまとまりにくくなるからです。温め直して温度と水分を戻し、皮をむいてからゆでたときのゆで汁か、だしでのばしてください。ミキサーやブレンダーで回すと細胞が壊れて糊状になり元に戻らないので、熱いうちにフォークや裏ごしで押しつぶします。国のガイドラインも、飲み込みづらい食材の対策として水分でのどを潤すこと、つめ込みすぎないことを挙げています。
Q: じゃがいもをゆでればソラニンはなくなりますか?
A: なくなりません。ソラニンとチャコニンが分解し始めるのは170℃以上で、ゆでる・蒸す・電子レンジはいずれも100℃前後なので分解は起きません。加熱ではなく下ごしらえで取り除く必要があります。芽は周辺部ごと取り除き、緑色はなくなるまで厚くむき、赤ちゃんに与えるものは皮をむいてください。芽や緑のない、Mサイズ以上のいもを選ぶことも大切です。
参考文献
- こども家庭庁 - 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
- 農林水産省 - ソラニンやチャコニンによる食中毒を防ぐには
- 農林水産省 - ソラニン・チャコニンに関するQ&A
- 農林水産省 - 加工調理による影響
- 東京都健康安全研究センター - ソラニン
- 東京都保健医療局 - こうしておこった食中毒【家庭編】
- 消費者庁 - 食品による子供の窒息事故に御注意ください
- 消費者庁 - アレルギー表示
- 厚生労働省 - 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジャガイモ
- こども家庭庁 - 生後5か月からの「離乳スタートガイド」別添スケジュール
- こども家庭庁 - 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
- こども家庭庁 - こどもを事故から守る 事故防止ハンドブック
- 文部科学省 - 食品成分データベース(じゃがいも)
医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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