りんごの離乳食:初期・中期・後期の形と量、生で渡していい時期

授乳量、もう覚えておかなくて大丈夫
無料で始めるりんごは離乳食で一番扱いやすい果物とされています。よく食べてくれますし、通年手に入ります。それでも迷うのは、いつから加熱せずに渡していいのかという一点ではないでしょうか。先に答えを書くと、公式の調理形態の目安で見るかぎり、生のりんごは離乳期のどの段階の基準にも届きません。 理由は歯にあります。
りんごはいつから
離乳はおかゆから始まり、慣れてきたら野菜や果物へと種類を増やしていきます。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」はこの順番を明記していて、じゃがいもや人参などの野菜と果物を同じ段階に置いています。りんごはここに入ります。離乳初期、生後5〜6か月頃からです。
新しい食品は離乳食用のスプーンで1さじずつ与え、様子をみながら量を増やします。病院が開いている平日の日中に初めて試すとよいのも同じ理由です。
💡 アレルギーを心配して開始を遅らせても意味はありません。離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせることに、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない、というのが現在の指針です。月齢別の形と量
| 時期 | 調理形態の目安 | りんごは | 野菜・果物の合計 |
|---|---|---|---|
| 初期 5〜6か月 | なめらかにすりつぶした状態 | すりおろして加熱、水分でのばす | 公式の数値なし。1さじずつ |
| 中期 7〜8か月 | 舌でつぶせる固さ | 加熱して細かく | 20〜30g |
| 後期 9〜11か月 | 歯ぐきでつぶせる固さ | 加熱して小さく、またはスティック | 30〜40g |
| 完了期 12〜18か月 | 歯ぐきで噛める固さ | 加熱して薄切り、またはすりおろして加熱 | 40〜50g |

「野菜・果物」は二枠ではなく一枠です
ここを見落としている方が多いところです。支援ガイドの「離乳の進め方の目安」で、Ⅱ群は「野菜・果物(g)」という一行になっています。後期の30〜40gは、野菜30〜40gに果物30〜40gを足したものではありません。二つを合わせて30〜40gです。
りんごは甘いのでよく食べます。だからりんごだけでこの枠を使い切ってしまいがちで、そうするとその食事に野菜の入る場所がなくなります。果物は進むのに野菜がいつまでも後回しになる、という流れはたいていここから始まります。
配分の目安を一つ持っておくと楽です。果物は枠の3分の1以内にとどめ、残りを野菜に回します。後期ならりんご10g程度に野菜25g程度、という具合です。3分の1という数字自体は公式の基準ではなく配分のための物差しですので、お子さんの食べる量に合わせて調整してください。

前歯は生えても奥歯はまだです
同じ表には歯の萌出の目安という行が並んでいます。りんごについては、ここがすべての鍵になります。
- 中期 7〜8か月: 乳歯が生え始めます
- 1歳前後: 前歯が8本生えそろいます
- 離乳完了期の後半: 奥歯(第一乳臼歯)が生え始めます
前歯と奥歯は仕事が違います。前歯は噛み切る歯で、奥歯はすりつぶす歯です。生のりんごを安全に食べるには、噛み切ったかたまりを細かく砕く工程が要るのですが、その仕事をする歯が一番最後に生えてきます。
ですから前歯しか生えていない子が生のりんごを噛むと、噛み切れた一片がほぼそのまま喉へ向かいます。 上手に噛み切れることは安全のしるしではなく、むしろ砕けないかたまりを作れるようになった、という意味にもなります。
同じ表の摂食機能の目安の行も見てみましょう。後期は「歯ぐきで潰すことが出来るようになる」で、「歯を使うようになる」のは完了期に入ってからです。調理形態のほうは、完了期でも「歯ぐきで噛める固さ」のままです。生のりんごは歯ぐきでは潰れません。
手づかみ食べを始める時期が一番気をつけどきです
手づかみ食べはだいたい生後9か月頃から始まります。自分で取ろうとするようになると、りんごのスティックを渡したくなりますね。ところがその時期は、前歯はあって奥歯はない期間とちょうど重なります。
生のスティックの代わりに、こうします。
1. 加熱して渡す
- 蒸すか茹でて、歯ぐきで押すとつぶれる固さまで
- 指の長さに切ると握りやすくなります
2. 皮はむく
- 皮は加熱しても丈夫なままで、歯ぐきでは切れません
3. 確かめるのは手で
- 親指と人差し指で押してつぶれれば合格です
- 力を入れないとつぶれないなら、赤ちゃんにはまだ固いということです

国の窒息統計に、りんごは名前が載っています
消費者庁が平成22年から26年をまとめた資料があります。14歳以下の窒息死623件のうち、食品によるものが約17%にあたる103件で、そのうち87件が6歳以下でした。年齢別では0歳が49件で47%、次いで1歳が18件、2歳が9件です。一番小さい年齢が一番多いのです。
原因となった食品の内訳では、菓子類の11件に続いて果実類(りんご、ぶどうなど)が5件挙がっています。りんごはここに名前が書かれている果物です。
事例も載っています。母親が同席している食卓で、2歳の子が皮を剝いた種なしのぶどう(直径3cm大)を丸ごと1個、一人で食べていました。風邪などの様子もなかったのに突然せき込み、泡を吹いて意識を失いました。母親が手でかき出そうとしましたができず、救急車を呼びました。その後、子どもを抱えて家の外に出たところ、通行人が腹部突き上げ法を行ってぶどうは一塊で排出されました。喉に詰まらせたときは、口の中に指を入れてかき出そうとせず、119番通報を誰かに頼んで、すぐに詰まった物の除去を試みてください。1歳未満の赤ちゃんには背部叩打法と胸部突き上げ法を5回ずつ交互に、1歳以上の子には背部叩打法を行い、出てこなければ腹部突き上げ法を行います。意識がなければ心肺蘇生を行います。
同じ資料には、離乳食そのものを喉に詰まらせてICUに入院した0歳の事例もあります。特別な食べ物だけが危ないわけではありません。保育施設向けの指針もはっきり書いています。子供の年齢月齢によらず、普段食べている食材が窒息につながる可能性がある、と。
消費者庁がまとめた与え方は次のとおりです。
食べさせる前に
- 食品を小さく切り、食べやすい大きさにする
- 一口の量は子供の口に合った、無理なく食べられる量にする
- 乾いた豆・ナッツ類は5歳までは食べさせない(この資料では「3歳頃まで」でしたが、こども家庭庁の現在のハンドブックは0〜5歳のこどもに使用を避けるよう呼びかけています)
食事中に
- 遊びながら、歩きながら、寝転んだまま食べさせない
- 急いで飲み込まず、ゆっくりよく噛んでから飲み込むよう促す
- お茶や水などを飲んで喉を湿らせる
- 眠くなっていないか、正しく座っているかに注意する
- 食事中に驚かせない
保育施設の指針にはもう一行あります。過去に誤えんや窒息の事故が起きた食材は、保護者に説明したうえで使用しないことが望ましい、と。例として挙がっているのは丸のままのミニトマトです。りんごも同じ考え方で見るべき食材で、違うのは形を変えれば解決するという点です。
りんごジュースはどうですか
支援ガイドに一文があります。離乳の開始前の子どもにとって最適な栄養源は乳汁であり、離乳の開始前に果汁やイオン飲料を与えることの栄養学的な意義は認められていない、というものです。
離乳食を始める前にりんごジュースで「味の練習」をさせる必要はない、ということですね。始まってからも理屈は同じで、同じ量なら、すりおろして渡すほうが食物繊維も一緒に入ります。

ラベルの上で、りんごは名前を変えます
りんごはじゃがいもやほうれん草とは一点違います。アレルギー表示の対象29品目に入っています。
- 表示義務の9品目: えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生
- 表示推奨の20品目: アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・ピスタチオ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
ただ、ラベルにいつも「りんご」と書かれているとは限りません。表示のルールが三つの形を認めているからです。
1. 代替表記
- 「リンゴ」「アップル」もりんごの表示として認められます
2. 拡大表記
- 「アップルパイ」「リンゴ酢」「焼きりんご」「りんご飴」のように名前の中に含まれていれば、それで表示になります
3. 添加物由来
- 「安定剤」(ペクチン:りんご由来)「増粘多糖類」(りんご由来)という形で現れます
- 醸造酢のうち果実酢を使った製品は、りんごを使っていないか別に確認が要ります
逆向きのルールもあります。「果実類」や「果汁」とまとめる表示は禁止されています。りんご・キウイフルーツ・ももが入っているなら、それぞれ名前を書かなければなりません。つまり「果汁」という書き方を、りんごなどのアレルギー表示の代わりにすることはできません(りんごなどを含まない製品が「果汁」と書くことまで禁止されているわけではありません)。
もう一つ。添加物表示は加工助剤やキャリーオーバーに該当すれば省略できますが、食物アレルギー表示は省略できません。 ただし、りんごは表示が義務ではなく推奨の品目です。ここまでのルールは表示をする場合の書き方なので、ラベルに「りんご」の文字がなくても、入っていないとは言い切れません。
下ごしらえと保存
皮をむき、芯と種は多めに取り除きます。芯の周りは固く、種は飲み込む危険があるためです。
すりおろすとすぐ茶色くなります。傷んだわけではありませんし、加熱すれば変色は止まります。 初期はどのみち加熱が必要ですから、すりおろしてそのまま温める順番が楽です。
冷凍は加熱してから1回分ずつ小分けにします。凍らせて解凍すると水分が抜けてぼそぼそになるので、温め直すときに水やだしでのばして元の濃度に戻します。解凍したものを再冷凍せず、食べ残しも次に回さないでください。
ベビスナでりんごの反応を記録する
- 新しい食材を与えた日付と量を記録しておくと、反応が出たときに何が原因か遡れます
- うんちの写真をAIが分析して、色や状態の変化を読み取ります
- 離乳の段階と食べた量を積み重ねると、次の段階へ進む時期が見えてきます
よくある質問(FAQ)
Q: りんごの離乳食はいつから始められますか?
A: おかゆに慣れた離乳初期、生後5〜6か月頃から始められます。初期はすりおろして加熱し、水分でのばしてなめらかにします。新しい食品は離乳食用のスプーンで1さじずつ、病院が開いている平日の日中に試すと安心です。アレルギーを心配して開始を遅らせても、予防効果があるという科学的根拠はありません。
Q: 生のりんごはいつから渡していいですか?
A: 厚生労働省の目安では、離乳完了期の生後12〜18か月でも調理形態は「歯ぐきで噛める固さ」です。生のりんごはこれより固く、すりつぶす奥歯が生え始めるのは完了期の後半です。それまでは、すりおろしたものも含めて、柔らかくなるまで加熱してから渡してください。前歯で上手に噛み切れることは、砕けるという意味ではありません。
Q: りんごは1回にどれくらい与えればいいですか?
A: 支援ガイドの表では「野菜・果物」で一枠です。中期20〜30g、後期30〜40g、完了期40〜50gは、野菜と果物を合わせた量になります。りんごは甘くてよく食べるので、それだけで枠を使い切りがちです。果物を枠の3分の1以内にとどめると、野菜の入る場所が残ります。
Q: りんごはアレルギー表示の対象ですか?
A: はい。りんごは表示を推奨する20品目に入っています。義務の9品目とは別の区分です。表示は「リンゴ」「アップル」のほか、「アップルパイ」「リンゴ酢」のように名前の中に含まれる形でも認められます。「安定剤」(ペクチン:りんご由来)のように添加物として入ることもあります。
参考文献
医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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