離乳食のほうれん草:いつから、なぜ「アク抜き」なのか、休ませる日

授乳量、もう覚えておかなくて大丈夫
無料で始めるほうれん草の離乳食レシピを開くと、どれも「アク抜きをしてください」と書いてあります。でもなぜアクを抜くのかは、ほとんど書かれていません。理由は二つあります。えぐみのもとであるシュウ酸と、葉菜類に多い硝酸塩です。そして茹でるだけで硝酸塩は3〜4割減ります。この記事では、その理由と、ほうれん草を一日休ませたほうがいい唯一の場面をまとめました。
ほうれん草はいつから
ほうれん草は遅らせる必要のある食品ではありません。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳の開始をおかゆ(米)からとしたうえで、慣れてきたら野菜へ広げていくとしています。生後5〜6か月頃の離乳初期から、おかゆに慣れた段階で始められます。
新しい食品は離乳食用のスプーンで1さじずつ与えて、子どもの様子をみながら量を増やします。
💡 アレルギーが心配で始めるのを遅らせる必要はありません。ガイドには「食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない」と明記されています。月齢別の形と使う部位
| 時期 | 調理形態(公式) | 使う部位 | 量の目安 |
|---|---|---|---|
| 初期 5〜6か月 | なめらかにすりつぶした状態 | 葉先だけ | 公的なg基準なし。1日1回1さじずつ |
| 中期 7〜8か月 | 舌でつぶせる固さ | 葉全体 | 野菜・果物で20〜30g |
| 後期 9〜11か月 | 歯ぐきでつぶせる固さ | 葉+やわらかい茎 | 野菜・果物で30〜40g |
| 完了期 12〜18か月 | 歯ぐきで噛める固さ | 全体 | 野菜・果物で40〜50g |

二つだけ補足します。量の欄は「野菜・果物」を合わせた1回分であって、ほうれん草1つの取り分ではありません。そして「2〜3mm角」のような表記は公的な基準ではなくレシピ媒体の慣行値です。国の資料は大きさをミリで決めず、「舌でつぶせる」「歯ぐきでつぶせる」のように誰がつぶすかで決めています。

「アク抜き」の本当の理由は二つ
一つめはえぐみです。 ほうれん草のアクはシュウ酸だと説明されます。茹でて冷水にさらすとえぐみが抜けて、赤ちゃんが吐き出しにくくなります。
二つめが、あまり書かれていないほうです。 葉菜類には硝酸塩が比較的多く含まれます。内閣府 食品安全委員会の資料は「日本の野菜では、ホウレンソウや春菊、サラダ菜等の葉菜類(主に葉を食べる野菜)に多く含まれていることが分かっています」と明記しています。硝酸塩そのものの毒性が特に高いわけではありませんが、体内で還元されて亜硝酸塩に変わると、メトヘモグロビン血症に関与するおそれがあると一部で指摘されてきました。
🔑 ところが対策は、私たちがすでにやっている動作でした。同じ資料が「野菜中の硝酸塩は、茹でるなどの調理により3〜4割程度の減少が期待できます」と書いています。えぐみを抜くつもりでしていたことが、硝酸塩も一緒に減らしていたんですね。
それでも怖がる話ではありません
ここまで読んでほうれん草を外そうかと思われたかもしれませんが、逆です。根拠を三つ挙げます。
1. 特に影響を受けやすいのは生後3か月以下です。 その時期は胃酸の分泌がほとんど無いため胃液酸度が低く、胃での細菌による硝酸還元の影響をとても受けやすいとされています。離乳食が始まるのはそれより後なので、いちばん敏感な時期は過ぎています。
2. 国内の健康被害報告がありません。 食品安全委員会は、野菜中の硝酸塩について国内における健康被害の報告は記載されていないとしています。実際に問題になった事例は、1945年の米国の井戸水や、1978年の西ドイツのホウレンソウのように、古く特殊な状況でした。
3. 国際的な評価も「野菜を食べる利益のほうが勝つ」です。 欧州食品安全機関は、野菜からの硝酸塩暴露のリスクと便益を比較し、推定される暴露量では明らかな健康リスクとはなりそうにないため、野菜を食べることによる有益な影響の方が勝っているとしています。
⚠️ ちなみに日本では、野菜中の硝酸塩についての基準値の設定はありません。欧州にはホウレンソウやレタスの基準値がありますが、米国・カナダ・豪州・ニュージーランドにもありません。「基準がないから危ない」ではなく、国によって考え方が違うということです。ひとつだけ、休ませる日
ただし条件付きの勧告がひとつあります。スペインは、感染性胃腸炎に罹患している乳幼児にはホウレンソウを与えないことを勧めています。 その状態の子は硝酸塩に対する感受性が高いためです。
実際の運用に落とすとこうなります。下痢や嘔吐がある日はほうれん草を一日休ませて、回復してから再開してください。 春菊やサラダ菜など他の葉菜類も同じ性質なので、別の葉物に替えるより葉物そのものを休ませるほうが筋が通ります。
下ごしらえと飲み込みやすさ
手順はこうです。葉先を選んで摘み、熱湯で茹で、冷水にさらして水気をしっかり絞り、細かく刻むか裏ごしして、初期はだしやおかゆでのばして濃度を合わせます。
葉物は口の中でばらばらになり、繊維が残って飲み込みにくい食材です。国のガイドラインが挙げる誤嚥しやすい性質のうち「口の中でばらばらになりやすいもの」の例にブロッコリーが入っていますが、ほうれん草の葉も同じ性質を持ちます。これは公的な文書にほうれん草と書かれているわけではなく、性質から見た私たちの読みです。
対策は二つ。初期は必ず裏ごしして繊維を断ち、中期以降もだしでのばすかとろみをつけてまとまらないようにします。赤ちゃんの気管の直径は1cmに満たないので、大きな葉のかたまりをそのまま与えることはしません。
オエッ(えずき)と本当のむせは違います。見分け方は離乳食でオエッとなるときにまとめてあります。

冷凍
五つを守ります。 購入した日に新鮮なうちに調理する、しっかり加熱して冷ましてから冷凍する、使うときは必ず再加熱する、一度解凍したものは再冷凍しない、1週間以内に使い切る。
ほうれん草は茹でて水気を絞り、刻んだ状態で大さじ1ずつ小分けにすると使いやすくなります。解凍後にぱさついていたら、お湯やだしでのばしてください。
アレルギーは
ほうれん草は表示対象の28品目に入っていません。ただ「まれだから安心」より大事なのは進め方です。新しい食品は1さじずつ、様子をみながら。症状が出たら自己判断で続けず、必ず医師の診断に基づいて進めてください。
ベビスナでほうれん草の反応を記録する
- 新しい食材を与えた日と量を記録して、反応が出たときに原因を絞り込めます
- 下痢や嘔吐があった日を残しておくと、葉物をいつ休ませたかを振り返りやすくなります
- いつ形態を上げたかを残して、次の段階のタイミングを逃しません
よくある質問(FAQ)
Q: 離乳食のほうれん草はいつから食べさせていいですか?
A: おかゆに慣れて野菜へ広げていく段階から使えます。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は離乳の開始をおかゆからとし、慣れてきたら野菜へ進めるとしているので、生後5〜6か月頃の離乳初期からで大丈夫です。初期は葉先だけを茹でて裏ごしし、だしやおかゆでのばした形で、1さじずつ始めて様子を見ながら増やします。
Q: ほうれん草はなぜアク抜きが必要なのですか?
A: 理由は二つあります。ひとつはえぐみのもとであるシュウ酸で、茹でて冷水にさらすとえぐみが抜けます。もうひとつは硝酸塩です。食品安全委員会はホウレンソウや春菊、サラダ菜などの葉菜類に硝酸塩が多いとしたうえで、野菜中の硝酸塩は茹でるなどの調理により3〜4割程度の減少が期待できると書いています。茹でて冷水にさらす一つの動作で、両方が片づきます。
Q: 硝酸塩が心配なのでほうれん草は避けたほうがいいですか?
A: いいえ。特に影響を受けやすいのは胃酸の分泌がほとんど無い生後3か月以下で、離乳食が始まるのはそれより後です。食品安全委員会の資料にも、野菜中の硝酸塩について国内における健康被害の報告は記載されていません。欧州食品安全機関も、野菜を食べることによる有益な影響の方が勝っていると評価しています。茹でて与えれば大丈夫です。
Q: ほうれん草を休ませたほうがいい日はありますか?
A: あります。スペインは、感染性胃腸炎に罹患している乳幼児にはホウレンソウを与えないことを勧めています。その状態では硝酸塩に対する感受性が高いためです。下痢や嘔吐がある日はほうれん草を一日休ませて、回復してから再開してください。春菊やサラダ菜など他の葉菜類も同じ性質なので、葉物そのものを休ませるほうが筋が通ります。
参考文献
医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
あわせて読みたい記事
こんな記事もおすすめ

離乳食のじゃがいも:初期・中期・後期の形と量、芽と緑の落とし方
じゃがいもはおかゆに慣れた離乳初期から始められます。ただし緑色の部分は通常の可食部の13倍を超え、皮の層は中身の約96倍。加熱しても分解されないので厚くむきます。そしてじゃがいもは、ミキサーにかけてはいけない唯一の離乳食材料です。

離乳食の段階別ガイド:初期から完了期まで完全解説
離乳食は初期・中期・後期・完了期の4段階で進みます。段階別の特徴と適切な食品、固さや量、注意点まで、時期に合った進め方をまとめました。

赤ちゃんの魚 離乳食:いつから、どの順番で、避けたい魚
魚は離乳食で遅らせなくてよい食品です。白身魚から一さじずつ始め、水銀の多い大きな魚だけを避けます。進める順番と避けたい魚、生の貝類の注意までまとめました。