赤ちゃんの解熱剤、アセトアミノフェンが効かない時は?日本でイブプロフェンを使わない理由
赤ちゃんの健康を写真1枚で確認
無料で始める夜中の1時、解熱剤を飲ませたのに2時間経っても熱が下がらない。そんなとき「別の薬に変えたほうがいいのかな」と検索してしまいますよね。急いでいる方のために、まず3つだけお伝えします。ひとつ、日本の乳幼児で使う解熱剤は、基本的にアセトアミノフェン1種類だけです。ふたつ、効かないように見えても、前回から4〜6時間という再投与の間隔を縮めてはいけません。みっつ、日本では熱が下がらないときに別の解熱剤へ変えるのではなく、時間を置くか受診するのが標準的な対応です。海外では2種類の薬を交互に使う方法が議論されていますが、日本の赤ちゃんではそもそも前提が違うのです。その理由を、これからていねいにお話ししますね。
💡 この記事で扱うのは用量ではなく、間隔と考え方です。何mlを飲ませるかは、製品の表示と薬剤師さん・お医者さんの指示にそのまま従ってください。保護者が自分でmgを計算しようとすることが、飲ませすぎの入り口になりやすいからです。日本で赤ちゃんに使える解熱剤は、どれですか?
日本の小児科で処方される解熱剤は、ほとんどがアセトアミノフェンです。カロナールのようなシロップ・細粒に加えて、アンヒバやアルピニーといった坐剤もよく使われます。剤形は違っても、中身は同じ成分だということをまず覚えておいてくださいね。

一方のイブプロフェンは、大人ではおなじみでも、日本の乳幼児ではほとんど登場しません。処方薬のブルフェンは添付文書上、通常5歳以上から使われます。市販の解熱鎮痛薬に入っているイブプロフェンは、15歳未満は服用しないと書かれているものがほとんどです。つまり日本の赤ちゃんでは、そもそも自宅の薬箱に選択肢が2つ並ぶ状況になりません。
| 成分 | アセトアミノフェン | イブプロフェン |
|---|---|---|
| 代表的な製品 | カロナール、アンヒバ坐剤、アルピニー坐剤 | ブルフェン(処方薬) |
| 乳幼児での位置づけ | 小児の第一選択 | 原則として使いません |
| 使える年齢の目安 | 生後3ヶ月ごろから(医師の指示のもとで) | 添付文書上は通常5歳から |
| 再投与の間隔 | 4〜6時間 | 6〜8時間 |
| 1日の回数 | 5回まで | 4回まで |
| 効果の持続 | 4〜6時間 | 6〜8時間 |
表には生後3ヶ月ごろからと書きましたが、生後3ヶ月未満の発熱は解熱剤を試すより受診が先です。この点はあとで詳しくお伝えしますね。
なぜ日本では乳幼児にイブプロフェンを避けるのですか?
これには、はっきりした歴史的な理由があります。
2000年前後、インフルエンザにかかった子どもの脳症(インフルエンザ脳症)が大きな問題になりました。調査の結果、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸といった一部の解熱鎮痛薬を使った子どもで死亡率が高いという報告が出て、厚生労働省がこれらの薬について注意を呼びかけ、小児のインフルエンザでの使用が事実上制限されました。日本小児科学会も、小児の発熱に対してはアセトアミノフェンを基本とする考え方を示しています。
その後の20年余りで、日本の小児医療には迷ったらアセトアミノフェンという実務が定着しました。イブプロフェンはジクロフェナクやメフェナム酸とは別の薬ですが、同じ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の仲間です。乳幼児で安全性がはっきり確かめられている選択肢を、わざわざ広げる理由がないという判断なのです。
もうひとつ、体調そのものの問題もあります。NSAIDsは腎臓への血流に影響します。吐いたり下痢をしたりして水分が足りていない子どもでは、これが負担になります。熱を出している赤ちゃんは飲めていないことが多いので、なおさら慎重になる必要があるのです。
⚠️ 大人用の解熱鎮痛薬を、量を減らして赤ちゃんに飲ませることは絶対にしないでください。市販薬の多くにはイブプロフェンなど小児に使えない成分が含まれていて、割って調整すれば安全になるものではありません。効かないと感じたとき、どうすればいいですか?
まず知っておいていただきたいのは、解熱剤が体温を下げる幅は1〜1.5°Cほどだということです。39°Cが37°Cまで下がらないのは失敗ではなく、もともとそういうお薬なのです。効き始めるまでにも30分〜1時間かかります。
そして見るべきなのは体温計の数字ではなく、赤ちゃんの様子です。水分やおっぱいを飲めているか、目が合って反応するか、ぐったりしていないか。この3つのほうが、体温の数値よりずっと確かな手がかりになります。
そのうえで、選択肢ごとの日本での考え方を整理してみました。
| 選択肢 | 日本での考え方 |
|---|---|
| 別の解熱剤に変える | 乳幼児では基本的に行いません。使える成分がアセトアミノフェンにほぼ限られるためです |
| 同じ薬をもう一度使う | 前回から4〜6時間あいていれば使えます。間隔を縮めることはできません |
| 時間を置いて様子を見る | 機嫌・水分・おしっこが保てていれば、これがいちばん多い対応です |
| 受診する | 熱が下がらないことよりも、ぐったりしているかどうかが受診の合図です |

もし海外の情報を見て2種類を交互に使う方法を知り、試そうと考えているなら、その前に主治医に相談してくださいね。日本の乳幼児では標準的な方法ではありませんし、どうしても必要な場合は医師が具体的な間隔まで指示してくれます。そして、どんな場合でも2種類の薬を同時に飲ませることだけは避けてください。次にいつ何を使えるのかがわからなくなり、それが飲ませすぎに直結します。
本当に危ないのは、ここです
熱が下がらないことより、実際に事故が起きやすいのは別のところです。

1. アセトアミノフェンの飲ませすぎは、最初の24時間が静かです 量が多すぎると肝臓に負担がかかります。こわいのは、最初の24時間はまったく症状が出なかったり、軽い吐き気だけだったりして、肝臓の障害があとから現れることがある点です。だから「多く飲ませたかもしれないけれど元気そう」は、安心してよい理由になりません。
2. シロップと坐薬の二重投与 これは日本でとても起こりやすいパターンです。カロナールのシロップとアンヒバなどの坐剤は、剤形が違うだけでどちらもアセトアミノフェンです。飲み薬が効かないからと坐薬を追加すると、同じ成分を2回使ったことになります。パパとママが交代で看病していると、お互い別の薬だと思って使ってしまうこともあります。
3. かぜ薬にアセトアミノフェンが入っていることがあります 総合感冒薬やかぜ薬には、解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンが含まれているものがあります。かぜ薬を飲ませたあとに熱が出たからと解熱剤を足すと、保護者から見れば別々の薬でも、赤ちゃんの体には同じ成分が2回入ります。処方薬でも市販薬でも、成分名を確認する習慣が確実です。
⚠️ シロップ・細粒・坐薬は、剤形が違っても中身が同じアセトアミノフェンのことがあります。飲み薬が効かないからと坐薬を追加するのは二重投与です。使うのはどちらか一方だけにして、次に使えるのは4〜6時間後だと覚えておいてくださいね。目標は体温の数字ではなく、赤ちゃんが楽になることです
熱そのものは、体が感染とたたかっている正常な免疫反応です。ですから数字を平熱に戻すこと自体が治療になるわけではありません。解熱剤の役目は、つらさをやわらげて眠れるようにし、水分を飲めるようにしてあげることなのです。
保護者の方が熱をこわいと感じる大きな理由に、熱性けいれんがありますよね。ここはぜひ知っておいてください。解熱剤で熱性けいれんを防ぐことはできません。熱が上がる前に早めに飲ませても、体温をより低くしても同じです。けいれんが心配だから解熱剤を使う、という考え方は成り立たないのです。熱性けいれんが起きたときの対応は、赤ちゃんの発熱対処法にまとめてあります。お薬の飲ませ方そのものに不安があるときは、赤ちゃんへの薬の飲ませ方もあわせてどうぞ。
薬以外にできること、してはいけないこと
薬を足す前に、赤ちゃんを楽にしてあげられることがまだあります。
ぬるめのお湯で体をふく、または短くお風呂に入れるのは助けになります。体温より少し低いくらいのぬるま湯で十分ですし、赤ちゃんが嫌がるなら無理にしなくて大丈夫ですよ。着せるのは薄手のもの1枚にして、熱があるからと厚い布団でくるまないようにしましょう。汗で水分が失われるので、母乳・ミルク・水を少しずつこまめにあげることも大切です。
逆に、してはいけないこともはっきりしています。冷水や氷水で体をふくと、体が震えてかえって体温が上がってしまいます。アルコールで体をふくのは絶対にやめてください。皮膚から吸収されて中毒を起こすことがあるからです。大人用の薬を割って飲ませたり、きょうだいに処方された薬を使ったりするのも、同じ理由で危険です。
⚠️ 消毒用アルコールで体をふいて熱を下げる方法は絶対に行わないでください。赤ちゃんの皮膚は吸収が早く、アルコール中毒につながります。冷水や氷水も、寒気を起こして体温をむしろ上げてしまいます。薬より受診が先になるとき
薬をどうするか迷う場面ではなく、薬を置いてすぐ受診すべき場面があります。
いちばん大切なのは、生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱です。この時期に38°C以上の熱が出たら、解熱剤を試さずにそのまま受診してください。世界中のガイドラインが共通して強調している点で、この月齢の発熱は重い細菌感染のサインであることがあるからです。家で熱を下げてしまうと、診察に必要な手がかりが隠れてしまうこともあります。
そのほか、次のような場合はためらわないでください。体温が40°C以上になったとき、けいれんを起こしたとき、おしっこが6時間以上出ない・涙が出ずに泣くといった脱水のサインがあるとき、ぐったりして起こしにくいとき、解熱剤を使っても24時間以上熱が下がらないときです。けいれんが続いていたり、息が苦しそうなときは119番に連絡してください。
そしてもうひとつ。飲ませる量や回数を間違えたかもしれないときは、症状がなくてもすぐに医療機関に連絡してください。先ほどお伝えしたとおり、アセトアミノフェンの飲ませすぎは最初は静かなので、元気そうに見えることが安全の証拠にはならないのです。
⚠️ 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38°C以上の熱を出したら、解熱剤を飲ませずにすぐ受診してください。この時期の発熱は重い感染のサインのことがあり、家で熱を下げると診察の手がかりが隠れてしまうことがあります。ベビスナで投薬の時刻を記録する
この記事でお伝えしてきた危険は、結局すべて同じところから始まります。いつ・何を・どれだけ使ったのかの記憶があいまいになる瞬間です。だから記録はおまけの機能ではなく、飲ませすぎを防ぐいちばん現実的な安全装置なんですね。
ベビスナに投薬の時刻と薬の名前、量を残しておけば、次に使える時刻で迷わなくなります。体温の記録と並べて見れば熱の上がり下がりの流れも一目でわかりますし、受診のときにその記録をそのまま見せれば、お医者さんの判断もぐっと早くなります。夜中にパパとママが交代で看病するときは特に頼りになりますよ。「さっき何を使った?」と聞き合わなくて済みますから。
よくある質問(FAQ)
Q: 解熱剤が効かないとき、別の薬に変えてもいいですか?
A: 日本の乳幼児では基本的に行いません。使える解熱成分がアセトアミノフェンにほぼ限られているためです。前回の投与から4〜6時間あいていれば、同じ薬をもう一度使えます。それでもぐったりしている場合は、薬を変えるより受診してくださいね。
Q: なぜ日本では赤ちゃんにイブプロフェンを使わないのですか?
A: 2000年前後にインフルエンザ脳症をめぐって一部の解熱鎮痛薬の使用が制限され、小児にはアセトアミノフェンを基本とする流れが定着したためです。処方薬のブルフェンも添付文書上は通常5歳からで、市販薬のイブプロフェンは15歳未満は服用しないと表示されているものがほとんどです。
Q: シロップと坐薬を一緒に使ってもいいですか?
A: 同じ成分の二重投与になるので、一緒に使わないでください。カロナールのシロップとアンヒバなどの坐剤は、剤形が違うだけでどちらもアセトアミノフェンです。使うのはどちらか一方だけにして、次に使えるのは4〜6時間後です。使った時刻と剤形をメモしておくと安心ですよ。
Q: 飲ませる量を間違えたかもしれません。どうしたらいいですか?
A: 元気そうに見えても、すぐに医療機関に連絡してください。アセトアミノフェンの飲ませすぎは最初の24時間は症状が出ないことがあり、肝臓の障害があとから現れることがあるからです。いつ・何を・どれだけ使ったかの記録をそのまま持っていくと、判断が早くなりますよ。
参考文献

医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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