母乳量を増やす7つの方法:母乳不足のサインからパワーポンピングまで完全ガイド

公開日: 2026-02-11最終確認日: 2026-02-11ベビスナ育児コンテンツチーム17 で読めます

「母乳が足りていないかも...」授乳中のママなら、一度はこんな不安を感じたことがあるのではないでしょうか。実際に母乳育児を早期にやめる理由の約50%が「母乳が足りない」という認識によるものです。しかし驚くべきことに、本当に母乳の生産能力が不足しているのは全体の産婦の5%未満なんです。ほとんどの場合、正しい方法を知れば母乳量を十分に増やすことができますよ。この記事では、母乳生産の科学的な仕組みからパワーポンピングまで、母乳量を増やす7つの方法を詳しくご紹介します。

母乳生産の仕組み:需要と供給

母乳の生産は「需要と供給」の原則で動いています。赤ちゃんがおっぱいを吸えば吸うほど(需要)、身体はより多くの母乳を作ります(供給)。この過程には2つの重要なホルモンが関わっています。

プロラクチン(Prolactin)

  • 母乳を作るホルモン
  • 赤ちゃんがおっぱいを吸ったり、搾乳するときに分泌
  • 深夜2〜4時に分泌量がピークに達する
  • 授乳・搾乳の回数が多いほど、より多く分泌される

オキシトシン(Oxytocin)

  • 母乳を出すホルモン(射乳反射、let-down reflex)
  • 赤ちゃんを抱っこしたり、おっぱいを吸わせたり、赤ちゃんのことを考えただけでも分泌
  • ストレスを感じると分泌が抑制されることがある

FIL(Feedback Inhibitor of Lactation:乳汁分泌抑制因子)

  • 乳房に母乳がいっぱいになるとFILの濃度が高まり、生産を抑制
  • 逆に乳房が空になるとFILが減り、生産が促進
  • だからこそ、こまめに空にすることが母乳量アップのカギ!
💡 母乳生産の黄金ルール:「出せば出すほど、もっと作られる」。こまめに、効果的に乳房を空にすれば、身体はもっと母乳を作るようにというサインを受け取りますよ。

本当の母乳不足 vs 感じている母乳不足

多くのママが母乳が足りないと感じていますが、ほとんどの場合は感じている不足です。本当の母乳不足との違いを知ることが大切ですよ。

感じている母乳不足(ほとんどの場合)

  • 赤ちゃんが頻繁に飲みたがる → 正常です!新生児は胃が小さいので、すぐお腹が空きます
  • おっぱいが以前より柔らかくなった → 授乳が安定してくると自然な変化です
  • 搾乳量が少ない → 搾乳機は赤ちゃんの吸引ほど効率的ではありません
  • 授乳後に赤ちゃんがぐずる → 空腹以外の理由(疲れ、刺激)の場合もあります

本当の母乳不足(全体の約5%未満)

  • 乳房の手術歴(特に縮小手術)
  • 乳腺組織の不足(管状乳房など)
  • ホルモンの問題(甲状腺疾患、PCOS・多嚢胞性卵巣症候群)
  • シーハン症候群(分娩時の大量出血)
  • 乳房への放射線治療歴
💡 母乳育児を早期にやめる理由の約50%が「母乳不足」という認識ですが、実際に母乳を十分に作れない産婦は5%未満です。正しい授乳方法とサポートがあれば、ほとんどの場合解決できますよ!

母乳不足のサイン確認法

赤ちゃんに本当に母乳が足りているか、客観的に判断するために以下のサインを確認してみましょう。

確認項目正常(十分な母乳)注意が必要(不足の可能性)
濡れたおむつ生後5日以降、1日6回以上1日6回未満、尿の色が濃い
便生後4日以降、1日3〜4回の黄色い便便の回数が急減、色が暗い
体重増加生後2週間までに出生体重に戻り、その後週に150〜200g増加2週間後も出生体重に戻らない
授乳パターン24時間に8〜12回の授乳、飲み込む音が聞こえる頻回授乳でも満足しない
赤ちゃんの様子授乳後に満足した表情、適度に活発ずっとぐずっている、ぐったりしている
⚠️ 体重減少が出生体重の10%を超えたり、生後2週間までに出生体重に戻らない場合は小児科医に相談してください。脱水のサイン(唇の乾燥、泣いても涙が出ない、大泉門のへこみ)が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。

方法1:授乳回数を増やす(8〜12回/日)

母乳量を増やす最も基本的で効果的な方法は、授乳の回数を増やすことです。

AAP推奨の授乳回数:24時間に8〜12回

  • 新生児:2〜3時間おきに、夜間も起こして授乳
  • 片方の乳房で最低10〜15分、十分に吸わせる
  • 赤ちゃんが片方を飲み終えたら、もう片方も勧める
  • サイン授乳(Cue-based feeding):空腹のサイン(口を開ける、手を吸う、頭を振る)が見えたらすぐに授乳
  • 泣くのは空腹の最後のサイン!泣く前に授乳を始めるのが理想的
💡 「授乳間隔を空けた方が母乳がたくさん溜まる」は誤った情報です!FILの仕組みにより、乳房をいっぱいのまま長時間置くと、むしろ母乳の生産が減ってしまいます。こまめに空にするほど、もっとたくさん作られますよ。

方法2:正しい吸着(ラッチオン)と授乳姿勢

いくら頻繁に授乳しても、吸着が正しくないと乳房が十分に空にならず、母乳生産のサインが弱まってしまいます。

正しい吸着のチェック:

  • 赤ちゃんの口が大きく開いた状態でくわえる
  • 乳輪の大部分が赤ちゃんの口の中に入っている(特に下側)
  • 唇が外側にめくれている(お魚の口の形)
  • 顎が乳房に触れている
  • 飲み込む音が規則的に聞こえる
  • 授乳中に痛みがないか軽度(最初の不快感は正常)

効果的な授乳姿勢:

  • 横抱き:最も基本的な姿勢。赤ちゃんのお腹とママのお腹を密着
  • 交差横抱き:新生児や吸着が難しいときに便利
  • フットボール(クラッチ)抱き:帝王切開後や大きな乳房のときに効果的
  • 添い乳:夜間授乳が楽に。産後の回復期にもおすすめ
  • リクライニング姿勢(Laid-back):射乳が強いとき、赤ちゃんが主導的にくわえられる
💡 吸着が痛い、赤ちゃんがうまくくわえられないときは、母乳外来や助産師さんに相談しましょう。日本では多くの産院や助産院で母乳育児相談を受けられます。桶谷式マッサージも母乳トラブルの改善に人気がありますよ。

方法3:パワーポンピング

パワーポンピング(Power Pumping)は、赤ちゃんが成長急増期に頻繁に吸うまとめ飲み(cluster feeding)を搾乳機で再現する方法です。プロラクチンの分泌を最大化して、母乳の生産を大幅に引き上げることができます。

パワーポンピングのスケジュール:

ステップ時間活動
ステップ120分搾乳
ステップ210分休憩
ステップ310分搾乳
ステップ410分休憩
ステップ510分搾乳

合計所要時間:1時間

パワーポンピング実践のコツ:

  • 1日1回、できれば毎日同じ時間に実施
  • 朝の時間帯がプロラクチンが高く最も効果的
  • 両側同時搾乳(ダブルポンピング)が効率的
  • 2〜3日で効果が出なくても大丈夫!通常3〜7日後から効果が現れます
  • 通常の授乳・搾乳スケジュールに追加で実施(置き換えではありません)

方法4:夜間授乳・搾乳を続ける

夜はゆっくり眠りたい気持ちは当然ですが、夜間の授乳は母乳量の維持にとても大切なんです。

  • プロラクチン(母乳を作るホルモン)が深夜2〜4時にピークを迎える
  • この時間帯に授乳・搾乳をすると、他の時間帯より多くのプロラクチンが分泌
  • 夜間6時間以上授乳・搾乳を飛ばすと、母乳量が急減する可能性
  • 最低1回は夜間の授乳・搾乳を維持するのがおすすめ

夜間授乳を楽にするコツ:

  • ベッドサイドベビーベッドを使って、起き上がらずに授乳
  • 授乳時は明るいライトではなく、やわらかい授乳ライトを使用
  • 授乳後すぐに眠れるように環境を整える
  • パートナーと協力:ママが搾乳し、パートナーが搾乳した母乳で授乳
💡 プロラクチンは深夜2〜4時に最も高くなるため、この時間帯の授乳・搾乳が母乳の生産に最も効果的です。大変でも、最低1回は夜間授乳を続けてみてくださいね。

方法5:栄養・水分・休息

母乳の約88%は水分です。ママの栄養状態と水分摂取が、母乳の生産に直接影響します。

水分摂取:

  • 1日2.5〜3リットルの水分摂取を推奨
  • 授乳のたびにコップ1杯の水を飲む習慣を
  • 喉が渇く前にこまめに飲む
  • カフェインは1日200〜300mg以下に制限(コーヒー1〜2杯)

栄養摂取:

  • 授乳中は1日約500kcal追加が必要
  • バランスの良い食事:タンパク質、良質な脂質、複合炭水化物
  • 母乳に良いとされる食べ物(ガラクタゴーグ):オートミール、ナッツ類、ごま、醸造酵母、フェヌグリークなど
  • 特定の食品が母乳量を劇的に増やすという科学的根拠は限定的なので、バランスの良い食事が最も大切

十分な休息:

  • ストレスと疲労はオキシトシン(射乳ホルモン)の分泌を抑制
  • 「赤ちゃんが寝ているときに一緒に寝ましょう」
  • 周りに助けを求め、家事の負担を減らす
  • 日本では産後の助産師訪問サービスや母乳外来を活用して、専門家のサポートを受けましょう

母乳量が減る主な原因と対処法

母乳量が急に減ったと感じたら、以下の原因をチェックしてみましょう。

原因理由対処法
授乳間隔が空いたFILの増加で生産が抑制授乳・搾乳の回数を増やす
ミルクの補足を開始直接授乳の減少 → 需要の減少直接授乳の後に補足、搾乳を併用
おしゃぶりの過度な使用空腹のサインを見逃す空腹のサインをまず確認
月経の再開ホルモンの変化で一時的に減少1〜2日で回復、授乳回数を維持
ストレス・疲労オキシトシンの分泌が抑制十分な休息、ストレス管理
吸着が正しくない乳房が効果的に空にならない吸着の修正、専門家に相談
特定の薬・ハーブ一部の薬がプロラクチンを抑制医師に授乳中であることを伝える
⚠️ 母乳量が急激に減ったり、赤ちゃんの体重増加が止まった場合は、小児科医や母乳育児の専門家に相談してください。甲状腺疾患など、医学的な原因がある場合もあります。

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  • 授乳パターン分析:記録されたデータで授乳間隔とパターンを把握し、最適な授乳スケジュールを管理
  • AI育児相談:母乳不足が心配なとき、AIチャットボットにいつでも相談できます
  • 成長記録:赤ちゃんの体重変化を追跡して、母乳摂取が十分かモニタリング

よくある質問

Q: 母乳が本当に足りているかどうか、どう判断すればいいですか?
A: 最も確実な指標は赤ちゃんの体重増加おむつの数です。生後5日以降で1日6枚以上の濡れたおむつ、週に150〜200gの体重増加が正常です。搾乳量が少ない、おっぱいが柔らかいだけでは判断が難しいですよ。

Q: パワーポンピングのやり方を教えてください。
A: 20分搾乳 → 10分休憩 → 10分搾乳 → 10分休憩 → 10分搾乳で、合計1時間です。1日1回、毎日同じ時間に行い、通常3〜7日後から効果が現れます。通常の授乳スケジュールに追加で行ってくださいね。

Q: 母乳量を増やすのに良い食べ物はありますか?
A: オートミール、ナッツ類、ごま、醸造酵母、フェヌグリークなどがガラクタゴーグ(母乳促進食品)として知られています。ただし、特定の食品の効果に関する科学的根拠は限定的です。最も大切なのはバランスの良い食事、十分な水分摂取(1日2.5〜3リットル)、そしてこまめに授乳することですよ。

Q: 仕事復帰後、母乳量を維持するにはどうすればいいですか?
A: 職場で3〜4時間ごとに搾乳することがポイントです。両側同時搾乳(ダブルポンピング)で時間を節約し、搾乳した母乳は冷蔵・冷凍保存しましょう。出勤前と帰宅後は直接授乳し、週末には授乳回数を増やすと母乳量の維持に効果的ですよ。

参考文献

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医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。