赤ちゃんの吐き戻し・胃食道逆流ガイド:ゲップとの違い、原因と対処法
授乳後に赤ちゃんがミルクを吐き戻すと、「どこか悪いのでは?」と心配になりますよね。実は生後4ヶ月の赤ちゃんの約67%が1日1回以上の逆流を経験しており、ほとんどが12ヶ月までに自然に改善します。ただし、単なる吐き戻しと治療が必要な胃食道逆流症(GERD)は明確に違います。この記事では、赤ちゃんの逆流の原因から家庭での対処法、病院を受診すべき警告サインまで詳しくご説明します。
胃食道逆流(GER)と胃食道逆流症(GERD)の違い
赤ちゃんの逆流は大きく2つに分かれます。
胃食道逆流(GER、Gastroesophageal Reflux)
- 生理的な現象で、健康な赤ちゃんにもよく見られます
- 授乳後に少量のミルクが自然に上がってくること
- 赤ちゃんは機嫌がよく、しっかり飲めて、体重も順調に増えます
- 「ハッピースピッター」(happy spitter)とも呼ばれます
- 特別な治療なしに、成長とともに自然に治まります
胃食道逆流症(GERD、Gastroesophageal Reflux Disease)
- 逆流が合併症を伴う病的な状態です
- 頻繁な嘔吐、不機嫌、哺乳拒否、体重増加不良などが見られます
- 食道炎、呼吸器症状、貧血などを引き起こす可能性があります
- 約**1〜5%**の乳児で合併症を伴うGERDと診断されます
- 医療的な評価と治療が必要です
赤ちゃんの逆流 症状チェックリスト
以下の症状を確認して、お子さんが単なる逆流なのかGERDなのか把握しましょう。
単なる逆流(GER)の症状
- 授乳中や直後に少量のミルクが流れ出る
- 力まずに自然に出てくる
- ゲップと一緒にミルクが出る
- 赤ちゃんの機嫌がよく快適
- 体重増加が順調
GERD疑いの症状
- 授乳中や後に頻繁に激しく泣き、背中を反らす
- 哺乳を嫌がったり、少量しか飲まない
- 体重がなかなか増えない、または減少する
- 頻繁な嘔吐や噴水様嘔吐
- 声がかれる、慢性的な咳、ゼーゼー(喘鳴)
- 睡眠中に何度も起きて苦しそう
- 吐いたものに血が混じっている
なぜ赤ちゃんは逆流するの?原因を理解しましょう
解剖学的な原因
赤ちゃんの消化器官はまだ発達途中です。特に食道と胃の間にある下部食道括約筋(LES)が未熟なため、胃の内容物が食道に上がりやすいのです。
- 赤ちゃんの胃は大人と違い横長の形をしており、内容物が逆流しやすい構造です
- 胃の容量がとても小さいです(出生直後は約5〜7mLから始まり、生後1〜2週までに約60〜80mLに増えます。生後6ヶ月で約200mL)
- 下部食道括約筋が一時的に弛緩する頻度が大人より高いです
- 横になっている時間が長く、重力の助けを借りにくいです
授乳に関連する原因
- 飲みすぎ:胃の容量以上に飲むと、あふれるように上がってきます
- 空気の飲み込み:授乳中に空気をたくさん飲み込むと、ゲップと一緒に逆流します
- 授乳姿勢:寝かせたまま授乳すると逆流が悪化することがあります
- ミルクの種類:特定のミルクのタンパク質に敏感な赤ちゃんもいます
その他の原因
- 食物アレルギー・過敏症:牛乳タンパクアレルギーが逆流を悪化させることがあります
- 神経学的要因:まれに神経系の問題が原因になることがあります
- 幽門狭窄症:噴水様嘔吐がだんだんひどくなる場合は疑う必要があります(生後2〜6週に最も多く、まれに12週まで現れることがあります)
月齢別の逆流パターン
赤ちゃんの逆流は月齢によって変化します。下の表を参考にしてください。
| 月齢 | 逆流の頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 0〜2ヶ月 | 乳児の約70〜85% | 胃の構造が未熟なため非常に多い。授乳直後の少量の逆流が頻繁 |
| 3〜4ヶ月 | 乳児の約67%(ピーク) | 授乳量の増加に伴い、逆流が最も多い時期 |
| 5〜6ヶ月 | 乳児の約56% | お座りを始めて徐々に減少。離乳食開始後に変化も |
| 7〜9ヶ月 | 徐々に減少 | 括約筋が成熟し、逆流の回数と量が減る |
| 10〜12ヶ月 | 乳児の約5〜18% | ほとんどの赤ちゃんで逆流がほぼなくなる |
| 12〜18ヶ月 | 約90〜95%が改善 | 18ヶ月までに95%以上の赤ちゃんで自然に改善 |
家庭でできる対処法
授乳方法の改善
1. 少量ずつ頻回授乳
- 一度にたくさん飲ませず、量を減らして回数を増やしてみましょう
- 胃が過度にいっぱいにならず、逆流が減ります
- ミルク授乳の場合、1回の授乳時間を20分以内に抑えてみてください
2. 授乳の途中でゲップをさせる
- 母乳:左右を替えるたびにゲップ
- ミルク:60〜90mLごとに1回ゲップ
- ゲップの後、授乳を再開しましょう
3. 授乳姿勢の見直し
- 赤ちゃんの上体を約30〜45度起こした姿勢で授乳しましょう
- 完全に寝かせた状態での授乳は避けてください
- 母乳育児の場合、クロスクレードル抱きが役立ちます
4. 哺乳瓶の選び方
- 空気が入りにくいアンチコリック哺乳瓶を試してみましょう
- 乳首の穴が大きすぎると早飲みになり、逆流が悪化します
- 授乳中は哺乳瓶を傾けて乳首がミルクで満たされるようにしましょう
授乳後のケア
1. 縦抱きの維持
- 授乳後、少なくとも20〜30分間赤ちゃんを縦に抱きましょう
- 重力がミルクを胃にとどめるのを助けます
2. お腹への圧迫を避ける
- 授乳直後のおむつ替えは避けましょう(脚を持ち上げるとお腹に圧力がかかります)
- きつい服やおむつのバンドを避けましょう
- 授乳直後にチャイルドシートに座らせないでください(腹部の圧迫)
3. 睡眠時の姿勢
- 必ず仰向けに寝かせてください(乳幼児突然死症候群の予防)
- 逆流があるからといって、うつ伏せ寝は絶対にしないでください
- ベッドの頭側を高くすることはAAP(米国小児科学会)では推奨されていません
ミルク育児の赤ちゃんへの追加アドバイス
- 小児科の先生と相談のうえ、ARミルク(Anti-Reflux、とろみ付きミルク)を試してみましょう
- 牛乳タンパク過敏症が疑われる場合は、加水分解ミルクへの変更を相談しましょう
- ミルクの変更は必ず医師と相談してから行ってください
母乳育児の赤ちゃんへの追加アドバイス
- 母乳育児そのものが逆流管理に最適な授乳方法です
- お母さんの食事から乳製品を一時的に除去すると改善するケースがあります(医師に相談のうえ)
- 母乳の過分泌や勢いのよい射乳が問題の場合は、片方の乳房のみで授乳するブロックフィーディングを試してみましょう
病院を受診すべきとき:警告サイン
以下の症状が見られたら、すぐに小児科を受診してください。
すぐに救急/病院へ行くべき場合
- 吐いたものが緑色(胆汁)や血液が混じった色の場合
- 噴水様嘔吐が繰り返される場合(生後2〜6週に最も多く、まれに12週まで現れる幽門狭窄症の疑い)
- 呼吸困難、顔が青くなったり蒼白になる場合
- 脱水症状:6時間以上おしっこが出ない、涙なしで泣く、大泉門が陥没
- 授乳後にけいれんや意識の変化がある場合
- お腹がひどく膨れている場合
数日以内に小児科を受診すべき場合
- 体重が増えない、または減少している場合
- 継続的に哺乳を嫌がる場合
- 嘔吐の回数がだんだん増えている場合
- 慢性的な咳、喘鳴、声がれが続く場合
- 生後12ヶ月を過ぎても逆流が改善しない場合
- 赤ちゃんが持続的に不機嫌でなだめられない場合
GERDの治療法
小児科でGERDと診断された場合、段階的に治療が進められます。
ステップ1:生活管理(上記の家庭での対処法)
- 授乳方法と姿勢の改善
- 少量頻回授乳
- 授乳後の縦抱き維持
ステップ2:食事の調整
- ミルク育児の赤ちゃん:ARミルクまたは加水分解ミルクへの変更
- 母乳育児の赤ちゃん:お母さんの食事から乳製品を除去する試み(2〜4週間)
- 離乳食を始めている赤ちゃんは、とろみのある離乳食が助けになることがあります
ステップ3:薬物治療(医師の処方が必須)
- 制酸剤:胃酸を中和し、食道への刺激を軽減します
- H2受容体拮抗薬:胃酸の分泌を減らします
- プロトンポンプ阻害薬(PPI):最も強力な胃酸抑制薬で、重度のGERDに使用します。PPIは短期間の使用が原則で、長期使用は感染リスクの増加や骨密度の低下などの副作用の可能性があります。必ず専門医の判断のもとで使用してください。
- 消化管運動促進薬:副作用のリスクがあるため非常に限定的に使用され、必ず専門医の判断のもとで処方されます
ステップ4:手術(非常にまれ)
- 薬物治療に反応しない重度のGERDでのみ検討されます
- ニッセン噴門形成術(Nissen fundoplication)が代表的です
- 神経学的疾患を合併している赤ちゃんでより多く行われます
ベビスナで授乳と逆流の記録管理
赤ちゃんの逆流パターンを把握するには、日々の記録が大切です。ベビスナアプリで簡単に管理しましょう。
- 授乳記録:授乳時間、量、種類(母乳・ミルク)を記録して、逆流との関係を把握できます
- おむつ記録:嘔吐後の尿量の変化を追跡して、脱水の有無をモニタリングできます
- AIうんち分析:写真1枚で赤ちゃんのうんちの状態をAIが分析し、消化器の健康をチェックできます
- AI育児相談:逆流に関する疑問をAIチャットボットにいつでも質問できます
- 成長記録:体重の変化を追跡して、逆流が成長に影響していないか確認できます
小児科受診の際にベビスナの授乳・逆流記録を見せると、先生がより正確に診断するのに大いに役立ちますよ。
参考文献



