新生児聴覚スクリーニング完全ガイド | 検査方法・リファー対応・聴力発達の目安

公開日: 2026-02-16最終確認日: 2026-02-16ベビスナ育児コンテンツチーム18 で読めます

「赤ちゃんの聴覚検査でリファー(要再検)が出ました...」と言われた瞬間、心配で胸がいっぱいになりますよね。でも、まずは落ち着いてくださいね。リファーの結果が出た赤ちゃんの約90%は、再検査で正常と判定されます。新生児1,000人中1〜3人が先天性難聴を持って生まれますが、生後6ヶ月以前に発見して早期介入を行えば、ほぼ正常な言語発達が期待できます。この記事では、新生児聴覚スクリーニングの種類と方法、リファー結果が出た時の対処法、精密検査、月齢別の聴力発達段階、そして早期発見の大切さについて詳しくご紹介します。

新生児聴覚スクリーニングとは?

新生児聴覚スクリーニングは、出生後できるだけ早い段階で赤ちゃんの聴力の異常を発見するための検査です。赤ちゃんが眠っている状態で行い、痛みは全くなく、約5〜10分で完了します。日本では2023年度から全国の自治体で公費助成が広がり、多くの地域で無料または一部負担で検査を受けられるようになっています。なぜこの検査が大切かというと、難聴は先天性疾患の中でも最も多いもののひとつであり、早期に発見することで言語発達への影響を最小限に抑えることができるからです。

💡 新生児聴覚スクリーニングは、生後1ヶ月以内、できれば退院前に受けることが推奨されています。お住まいの自治体によって公費助成制度がありますので、事前に確認しておきましょう。

OAEとAABR検査の違い

新生児聴覚スクリーニングには2つの方法があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。違いを知っておくと、検査結果についてお医者さんと話す時にも安心ですよ。

区分OAE(耳音響放射検査)AABR(自動聴性脳幹反応検査)
検査の原理蝸牛(内耳)の反応を測定聴神経と脳幹の反応を測定
検査時間約5分約10〜15分
検査方法耳に小さなプローブを挿入おでこと耳の後ろに電極を装着
検出範囲蝸牛の異常のみ検出蝸牛+聴神経の異常を検出
聴神経症の検出不可可能
検査費用公費助成あり(自治体による)公費助成あり(自治体による)
⚠️ OAE検査だけでは聴神経症(auditory neuropathy)を発見できません。なぜなら、OAEは蝸牛の機能のみを測定するためです。NICUに入院した経験がある赤ちゃんやハイリスク児は、必ずAABR検査を受けることが大切です。

リファー(Refer)結果が出た時

「リファー」とは「要再検」という意味で、検査結果が正常基準を通過しなかったことを示します。でも、リファーが出たからといって、すぐに難聴だというわけではありませんよ。

リファーが出る理由

  • 耳の中に羊水や胎脂が残っている場合(最も多い原因)
  • 検査中に赤ちゃんが動いたり泣いたりした場合
  • 中耳に液体が溜まっている場合(滲出性中耳炎)
  • 周囲の騒音が大きかった場合
  • 実際に聴力に問題がある場合

リファー後の対処の流れ

1. 慌てないでくださいね

  • リファーが出た赤ちゃんの約90%は再検査で正常と判定されます。その理由は、多くの場合、耳の中の羊水など一時的な原因によるものだからです。

2. 再検査のスケジュールを立てる

  • 退院前のリファー:生後1ヶ月以内に再検査
  • 再検査でもリファー:生後3ヶ月以内に精密検査

3. 精密検査の予約をする

  • 耳鼻咽喉科または小児聴覚センター
  • 大学病院やこども病院がおすすめです。なぜなら、専門的な小児聴覚検査機器が揃っているためです。
💡 リファーの結果を受けて不安なお気持ちはよくわかります。でも、ほとんどの場合は耳の中の羊水など一時的な原因ですので、まずは落ち着いて、決められたスケジュールで再検査を受けてくださいね。

精密聴力検査の種類

スクリーニングでリファーが出た場合、精密検査で難聴の有無と程度を正確に調べます。これらの検査は初回のスクリーニングよりも詳細な情報を提供してくれます。

検査名測定内容所要時間特徴
ABR(聴性脳幹反応検査)聴神経〜脳幹の経路30〜60分睡眠が必要、難聴の程度を確認可能
ASSR(聴性定常反応検査)周波数別の聴力閾値60〜90分補聴器の処方に重要な情報を提供
インピーダンス検査中耳機能約5分滲出性中耳炎などの中耳異常を確認
OAE精密検査蝸牛機能約10分外有毛細胞の機能を詳細に評価

難聴の種類と程度

難聴は発生部位と程度によって分類されます。これらの分類を理解しておくと、聴覚専門医や耳鼻咽喉科の先生とのお話がスムーズになりますよ。

発生部位による分類

  • 伝音性難聴:外耳〜中耳の問題(中耳炎、耳垢栓塞など)。治療で回復できる場合が多いです。その理由は、原因が神経的なものではなく、物理的・機械的なものであることが多いためです。
  • 感音性難聴:蝸牛〜聴神経の問題。補聴器や人工内耳が必要です。なぜなら、感覚細胞や神経経路に損傷があるためです。
  • 混合性難聴:伝音性と感音性が同時に起こっている状態です。
難聴の程度聴力閾値影響
軽度難聴26〜40dB小さな声やささやき声が聞こえにくい
中等度難聴41〜55dB日常会話の聞き取りに困難
中高度難聴56〜70dB大きな声しか聞こえない
高度難聴71〜90dB非常に大きな音のみ認識
重度難聴91dB以上音がほとんど聞こえない

1-3-6原則:早期発見が大切な理由

JCIH(乳幼児聴覚合同委員会)が推奨する1-3-6原則は、新生児難聴の早期発見・早期介入のための国際的な基準です。このタイムラインに沿うことで、赤ちゃんの言語発達に最良の結果が期待できます。

1ヶ月:生後1ヶ月までに聴覚スクリーニングを完了 3ヶ月:生後3ヶ月までに精密検査で難聴を確定診断 6ヶ月:生後6ヶ月までに補聴器などの早期介入を開始

💡 生後6ヶ月以前に難聴を発見して介入した赤ちゃんは、遅れて発見された赤ちゃんより言語発達が平均20〜40%優れているという研究結果があります。早期発見が本当に大切なんです!

早期介入がこれほど重要な理由は、生後最初の3年間が脳の聴覚・言語回路が形成される決定的な時期だからです。この時期に適切な聴覚刺激を受けられないと、言語発達が遅れる可能性があります。反対に、早い時期に補聴器や人工内耳を通じて音に触れることで、同年齢の子どもたちと同じような言語発達が可能になります。この時期が特に大切なのは、脳の可塑性(新しい神経回路を形成する能力)が乳児期にピークを迎えるためです。

月齢別の聴力発達段階

赤ちゃんの聴力発達は一定の段階を経て進みます。下の表を参考に、お子さんの聴力発達を確認してみましょう。もし遅れが見られても、必ずしも問題があるとは限りませんが、小児科の先生に相談する価値はありますよ。

月齢正常な聴力発達の反応
0〜1ヶ月大きな音にびっくりする反応(モロー反射)、眠りから覚める
2〜3ヶ月親の声に微笑む、音のする方へ目を向ける
4〜5ヶ月音のする方向に頭を向ける、喃語が始まる
6〜7ヶ月名前を呼ぶと反応する、さまざまな喃語(「ばばば」「まままま」)
8〜9ヶ月簡単な言葉を理解する(「ダメ」「バイバイ」)、音をまねしようとする
10〜12ヶ月簡単な指示に従う、意味のある最初の言葉(「ママ」「まんま」)

家庭でできる聴力セルフチェックリスト

次の項目を確認してみてください。当てはまらない項目が2つ以上ある場合は、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。親御さんの直感も大切にしてくださいね。赤ちゃんのことを一番よく知っているのはお母さん・お父さんですから。

0〜3ヶ月の赤ちゃん

  • 大きな音にびっくりする反応がありますか?
  • 親の声で落ち着いたり微笑んだりしますか?
  • 寝ている時に急に大きな音がすると起きたりびくっとしますか?

4〜6ヶ月の赤ちゃん

  • 音のする方に頭を向けますか?
  • 喃語を話していますか?
  • おもちゃの音に興味を示しますか?

7〜12ヶ月の赤ちゃん

  • 名前を呼ぶと反応しますか?
  • 「ダメ」と言うと行動を止めますか?
  • 音楽が流れると体を揺らしたり反応したりしますか?
⚠️ このチェックリストはあくまでも参考です。正確な診断の代わりにはなりません。少しでも気になることがあれば、必ず専門医に相談してくださいね。早期発見が何よりも大切です。

補聴器と人工内耳

難聴が確定診断された場合、聴力の程度に応じて適切な聴覚補助機器を使用します。目標は、赤ちゃんにできるだけ早く音へのアクセスを提供し、言語発達を支援することです。

補聴器

  • 軽度〜高度難聴に使用
  • 音を増幅して聞こえやすくする機器
  • 生後4〜6週間から装用可能
  • 乳幼児には耳かけ型(BTE)補聴器が一般的
  • 補装具費支給制度により、基準額内で公費支給あり

人工内耳(蝸牛インプラント)

  • 高度〜重度の感音性難聴に使用
  • 蝸牛に直接電極を埋め込む手術
  • 一般的に生後12ヶ月前後に手術
  • 術後の継続的な聴覚リハビリテーションが必須で、通常1〜2年以上かかります
  • 健康保険が適用され、自己負担額が大幅に軽減
区分補聴器人工内耳
対象軽度〜高度難聴高度〜重度感音性難聴
原理音の増幅聴神経への直接刺激
装用/手術時期生後4〜6週間から生後12ヶ月前後
メリット非侵襲的、すぐに使用可能重度難聴でも音の認識が可能
リハビリ聴能訓練を推奨聴覚リハビリ必須(1〜2年以上)

新生児難聴のハイリスク因子

以下に該当する赤ちゃんは、スクリーニング結果が正常であっても定期的な聴力フォローアップが必要です。その理由は、一部の難聴は進行性または遅発性で、出生時には検出できないことがあるためです。

  • 家族に小児期の永続的難聴の既往歴がある
  • NICUに5日以上入院した
  • 重度の黄疸で交換輸血を受けた(高ビリルビン血症)
  • 妊娠中の感染症(サイトメガロウイルス(CMV)、風疹、トキソプラズマなど)
  • 顔・頭部の先天的な異常(口唇口蓋裂、小耳症など)
  • 細菌性髄膜炎にかかったことがある
  • 聴力に影響を与える可能性のある薬剤を使用した
  • 出生時に呼吸や心拍に問題があった(アプガースコアが低い)
💡 ハイリスク児はスクリーニングを通過しても、生後3年まで6ヶ月ごとに聴力検査を受けることが推奨されています。なぜなら、一部の難聴は徐々に進行したり、乳児期の後半に現れることがあるため、継続的なモニタリングが欠かせないからです。

ベビスナで赤ちゃんの聴力発達を管理しよう

赤ちゃんの聴力発達には、日々の観察と記録の積み重ねが大切です。ベビスナアプリで体系的に管理して、気になる点を早めにキャッチしましょう。

  • 発達記録:喃語の開始、最初の言葉など、聴力に関する発達の節目を記録
  • 健康記録:聴覚検査の結果、耳鼻咽喉科の受診履歴を保存
  • AI相談:赤ちゃんの聴力発達に関する疑問をAIチャットボットに相談

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よくある質問(FAQ)

Q: 新生児聴覚検査で片耳だけリファーが出ました。大丈夫でしょうか?
A: 片耳だけのリファーはとてもよくあることで、ほとんどの場合は耳の中の羊水や胎脂が原因です。再検査で正常と判定されることが多いですが、必ず決められたスケジュールで再検査を受けてくださいね。もし片耳の難聴が確定しても、適切な管理で正常な言語発達が可能です。

Q: 聴覚スクリーニングの費用はどのくらいですか?
A: 日本では2023年度から全国的に公費助成が進んでおり、多くの自治体で無料または数千円の自己負担で受けられます。精密検査(ABR、ASSR)の場合も健康保険が適用され、自己負担は約3,000〜10,000円程度です。お住まいの自治体の助成制度をご確認ください。

Q: 赤ちゃんが音によく反応しているようですが、それでも検査は必要ですか?
A: はい、必ず受けてください。軽度〜中等度の難聴は日常生活では親御さんが気づきにくく、片耳の難聴はさらに発見が困難です。なぜなら、赤ちゃんは聞こえる方の耳で補ってしまうからです。早期発見が言語発達に決定的な影響を与えるため、すべての新生児にスクリーニングが推奨されています。

Q: 新生児聴覚検査はいつまでに受ければいいですか?
A: 1-3-6原則に従い、生後1ヶ月までにスクリーニングを完了することが理想です。リファー結果が出た場合は、生後3ヶ月までに精密検査で難聴の有無を確認し、確定診断が出た場合は生後6ヶ月までに早期介入を開始することが目標です。

参考文献

新生児聴覚スクリーニング完全ガイド | 検査方法・リファー対応・聴力発達の目安

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