発育性股関節形成不全(DDH):脚の長さ・太もものシワの左右差サインと早期発見
ベビスナでもっと簡単に管理
無料で始めるおむつ替えのときに片方の脚が開きにくかったり、左右の太もものシワがやけに合っていないと、「股関節に問題があるのかな」と心配になりますよね。発育性股関節形成不全(DDH)は、太ももの骨の先端(骨頭)が骨盤のくぼみ(臼蓋)にうまくはまらない状態で、赤ちゃん1,000人あたり数人にみられます。うれしいことに、この病気はどれだけ早く見つけるかが治療の成否を分けます。生後数週間〜数か月で見つかれば手術なしで装具だけで治ることがほとんどですが、歩き始めてから見つかると手術が必要になることもあります。だからこそ、危険因子と自分で気づけるサインを知っておくことがとても大切です。
⚠️ 次の赤ちゃんは症状がなくても超音波検診を受けましょう:① 骨盤位(逆子)で生まれた ② 女児 ③ 親・きょうだいに股関節形成不全の家族歴がある。とくに骨盤位の女児はリスクが最も高く、生後6週ごろの股関節超音波がすすめられます。発育性股関節形成不全とは?
股関節は、太ももの骨の丸い先端(骨頭)が骨盤のくぼんだ受け皿(臼蓋)にぴったりはまる、ボールとソケットの関節です。発育性股関節形成不全(Developmental Dysplasia of the Hip)とは、このはまり具合がゆるくなったり、重い場合は骨頭が臼蓋から完全に外れる(脱臼)状態をいいます。以前は「先天性股関節脱臼」と呼ばれていましたが、生まれたときは正常でも成長とともに悪くなることがあるため、今は「発育性」という言葉が使われます。
やっかいなのは、赤ちゃんが痛がらないことです。脱臼していても痛みがなく、見た目にも分かりにくいので、親が見逃しやすいのです。放っておくと脚の長さに差が出たり、足を引きずって歩いたり、将来的に早期の変形性関節症につながることもあります。だから「様子を見よう」より「早めに確認しよう」が正解です。
どんな赤ちゃんがリスクが高いの?
DDHは特定の条件で明らかに起こりやすくなります。次の危険因子があれば、症状がなくても検診の対象です。
- 骨盤位(逆子)分娩:最も強い危険因子です。妊娠後期に骨盤位だった単胎児の股関節形成不全の頻度は約12.5%と報告されています。
- 女児:男児より約4〜5倍多く、母体のホルモン(リラキシン)に敏感に反応するためと考えられています。
- 家族歴:親やきょうだいにDDHがあると、リスクが上がります。
- 第一子:初産の子宮はより狭く、胎児が圧迫されやすくなります。
- 羊水過少:子宮内のスペースが狭く、脚が窮屈な姿勢になります。
- 左股関節:胎児の姿勢の特性から、左側のほうが多く起こります。
家でチェックする4つのサイン
言葉を話せない赤ちゃんなので、親の観察が早期発見の第一歩です。お風呂やおむつ替えのときに、次の4つを見てみましょう。
1. 脚の長さの差
- 赤ちゃんを寝かせ、膝を立てて足をそろえたとき、片方の膝が低く見えれば(アリス徴候)、脱臼した側の脚が短く見えているのです。
2. お尻・太もものシワの左右差
- 太ももの内側やお尻のシワの数・高さが左右で明らかに違えば、サインの可能性があります。ただしこの徴候だけでは不確かなので、ほかのサインと合わせて見ましょう。
3. 脚の開きにくさ
- おむつ替えのとき、片方の脚が外に開きにくく、こわばって引っかかる感じがあれば重要なサインです。とくに生後数か月で開きがだんだん制限されてくる場合は受診しましょう。
4. クリック音・引っかかり
- 脚を動かすときに「カクッ」という音や引っかかる感じがすることがあります。やわらかい「コッ」という音は正常なことも多いですが、鈍く引っかかる感じ(クランク)は骨頭が外れて戻るサインのことがあります。
検診と診断
家での観察は、あくまで「病院に行く理由」を見つけるためのものです。確定診断は検診と画像検査で行います。
身体診察(オルトラニ・バーロウテスト)
- 小児科医や整形外科医が赤ちゃんの脚をやさしく開いて押し、骨頭が外れたり戻ったりする感触を確認します。新生児健診や乳幼児健診で基本的に行われます。
超音波検査
- 生後4〜6か月より前は骨がまだ軟骨でX線に写りにくいため、超音波で確認します。米国小児科学会(AAP)は、危険因子がある赤ちゃんに生後6週ごろの股関節超音波をすすめています。
X線検査
- 生後4か月以降は骨頭が硬くなり、X線で骨盤と関節の位置を評価できます。
乳幼児健診でも股関節の診察が含まれます。危険因子があったり診察で異常が疑われたりすると、整形外科に紹介され超音波・X線を受けることになります。
治療:早期発見が肝心
DDH治療の大原則は、早く見つけてゆるい関節を正しい位置に保ち、臼蓋が正常に育つようにすることです。見つかる時期によって方法が変わります。
生後6か月より前 — リーメンビューゲル
- 代表的な治療はリーメンビューゲル(Pavlik harness、パブリック装具)です。脚をM字(股関節は曲げ、膝は開く姿勢)に保つ、やわらかいベルト型の装具です。この姿勢が骨頭を臼蓋の中へ自然に収め、臼蓋がきちんと育つのを助けます。
- 装着期間はふつう3〜6か月で、早期発見なら約70〜80%で整復に成功します。早期に診断して正しく装着すれば、大腿骨頭壊死などの合併症リスクも低く抑えられます。
- ただし、無理に脚を開かせたり誤った装着をすると、かえって合併症が起こることがあるので、整形外科の指示どおりに装着し、定期的に点検を受けましょう。
6か月以降、または整復に失敗した場合
- 装具で整復されなかったり発見が遅れたりした場合は、麻酔下での徒手整復とギプス固定(股関節スピカギプス)を行うことがあります。
1歳以降に見つかった場合
- すでに関節が硬くなり装具では整復されにくく、牽引療法や手術が必要になることがあります。だからこそ早期発見がこれほど強調されるのです。
予防:おくるみと抱っこの脚の姿勢
DDHを100%防ぐことはできませんが、悪い脚の姿勢を避けるだけでリスクを大きく減らせます。ポイントは、脚を無理にまっすぐ伸ばして閉じないことです。
股関節にやさしいおくるみ
- 腕は包んでも、脚は膝を曲げて開けるゆとりを残しましょう。脚をまっすぐ伸ばしてきつく巻くと、骨頭が臼蓋から外れやすくなります。
- 実際に日本の京都では、脚をまっすぐ伸ばして巻く習慣を変える啓発活動の後、DDHの発生が1,000人あたり52.9人から5.6人へと激減した有名な事例があります。
抱っこ・おんぶのM字姿勢
- 抱っこするとき、太ももがお尻より広く開き、膝がお尻より少し高くなるM字姿勢(コアラ抱っこ)が理想です。この姿勢はリーメンビューゲルと同じように、股関節を健康な位置に保ちます。
- 脚がまっすぐ下に垂れる幅の狭い抱っこ紐は避け、太ももを膝まで支えてくれる製品を選びましょう。
ベビスナで股関節の健康を守る
DDHは早期発見と継続的な観察がすべてと言っても過言ではありません。ベビスナで赤ちゃんの発達と検診の予定を見逃さず管理しましょう。
- 健康記録:乳幼児健診・超音波の予定と結果を記録して、股関節検診の時期を逃しません。
- AI分析:写真と記録で赤ちゃんの状態を確認し、気になるサインがあるときの受診判断を助けます。
- 発達記録:脚の開きや歩き始めなどの発達の節目を記録し、同月齢と比べて異常サインを早く見つけます。
歩き始めや発達の節目が気になる方は、赤ちゃんの歩行発達ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q: どんな赤ちゃんが股関節形成不全の検診を受けるべきですか?
A: 骨盤位(逆子)で生まれた赤ちゃん、女児、親やきょうだいに家族歴がある赤ちゃんは、症状がなくても検診の対象です。とくに骨盤位だった単胎児は股関節形成不全の頻度が約12.5%と高く、米国小児科学会は生後6週ごろの股関節超音波をすすめています。危険因子が重なる場合はより積極的に確認しましょう。
Q: 家でどうやって確認できますか?
A: おむつ替えのときに片方の脚が外に開きにくくないか、膝を立てたとき片方が低くないか(脚の長さの差)、太ももやお尻のシワが左右で明らかに違わないか、脚を動かすとき引っかかる感じがないかを見てください。どれか一つでも繰り返すなら、小児科や整形外科で診てもらうとよいです。
Q: おくるみは股関節に悪いですか?
A: 問題なのは、脚をまっすぐ伸ばして閉じ、きつく巻く方法です。この姿勢は骨頭が臼蓋から外れやすくなります。腕は包んでも、脚は膝を曲げて開けるゆとりを残しましょう。実際に、脚をまっすぐ伸ばして巻く習慣を変えた後、DDHの発生が大きく減った研究事例があります。
Q: 治療はいつ始めて、治りますか?
A: 生後6か月より前に見つかれば、リーメンビューゲルを3〜6か月ほど装着して約70〜80%が整復されます。早期に治療して正しく装着すれば合併症リスクも低めです。一方、1歳以降に見つかると牽引や手術が必要になることがあるため、早期発見が完治のカギです。
参考文献

医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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