赤ちゃんのRSウイルスと細気管支炎:症状・受診目安・予防法 完全ガイド
赤ちゃんが鼻水と咳から始まって、だんだんゼーゼーと音を立てて息が苦しそうになっていませんか?ただの風邪ではなく、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染かもしれません。RSウイルスは2歳までにほぼすべてのお子さんが一度は感染する非常によくあるウイルスですが、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんでは細気管支炎や肺炎に進行することがあり注意が必要です。この記事では、RSウイルス感染の症状、風邪との違い、救急受診の目安、家庭でのケア方法、そして予防法まで詳しくご紹介しますね。
RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)とは?
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、乳幼児に下気道感染症を引き起こす最も一般的なウイルスです。ほぼすべてのお子さんが2歳までに一度はRSウイルスに感染し、そのうち20〜30%が細気管支炎や肺炎に進行します。
細気管支炎とは、肺の中の最も細い気道である細気管支に炎症が起きる病気です。細気管支が腫れて粘液がたまると気道が狭くなり、赤ちゃんが呼吸しにくくなります。乳幼児の細気管支炎の約80%がRSウイルスが原因とされています。
RSウイルスの流行時期
- 日本では例年秋から春にかけて(10月〜3月頃)が流行のピーク
- 近年は季節に関係なく流行するケースも報告されています
- 保育園や幼稚園など集団生活の場で急速に広がります
RSウイルス感染 vs 普通の風邪:見分けるポイント
RSウイルス感染の初期症状は普通の風邪とよく似ているため、見分けるのが難しいことがあります。しかし、数日経つと明確な違いが現れてきますよ。
| 特徴 | 普通の風邪 | RSウイルス感染(細気管支炎) |
|---|---|---|
| 呼吸の音 | 鼻づまり程度 | ゼーゼー(喘鳴)、ゴロゴロ音 |
| 呼吸の様子 | 通常の呼吸 | 呼吸が速い、肋骨の間が凹む、鼻翼呼吸 |
| 咳のパターン | 軽い咳 | 発作的で持続的な咳 |
| 発熱 | 微熱または無熱 | 38〜39°C以上の高熱になることも |
| 授乳・ミルク | ほぼ通常通り | 飲みが悪くなる、飲む量が激減 |
| 症状の期間 | 5〜7日 | 7〜14日(咳は3〜4週間続くことも) |
| 悪化のピーク | 初日が最もつらい | 発症3〜5日目にピーク |
症状の段階別チェック
RSウイルス感染の症状は通常、軽症から始まって徐々に悪化することがあります。赤ちゃんの状態を正確に把握することが大切ですよ。
軽症(自宅で様子観察)
- 透明な鼻水、くしゃみ
- 軽い咳
- 微熱(37.5〜38°C)
- 食欲がやや低下
- 全体的に機嫌はよい
中等症(小児科の受診が必要)
- ゼーゼーという音(喘鳴)が聞こえる
- 咳が頻繁になり悪化する
- 呼吸が普段より速い(1分間に50〜60回以上)
- 飲む量が普段の半分以下に減少
- ぐずって眠れない
- 38.5°C以上の発熱
重症(すぐに救急受診を)
- 息をするたびに肋骨の間がへこむ(肋間陥凹)
- 鼻の穴がヒクヒクと動く(鼻翼呼吸)
- 息を吐くときにうなり声が出る
- 唇や爪が青くなる(チアノーゼ)
- 8時間以上おしっこが出ない(脱水)
- ぐったりして反応が薄い
- 無呼吸(呼吸が止まる瞬間がある)
ハイリスク群:特に注意が必要な赤ちゃん
すべての赤ちゃんがRSウイルスに感染する可能性がありますが、以下のグループは重症化するリスクがはるかに高くなります。
ハイリスク対象
- 生後6ヶ月未満の乳児(特に3ヶ月未満)
- 早産児(在胎週数37週未満で生まれた赤ちゃん)
- 先天性心疾患のある赤ちゃん
- 慢性肺疾患(気管支肺異形成症など)のある赤ちゃん
- 免疫不全状態の赤ちゃん
- ダウン症候群などの染色体異常のある赤ちゃん
これらに該当する赤ちゃんは、RSウイルスの症状が軽く見えても急速に悪化する可能性があるため、初期症状の段階でかかりつけ医に相談することをおすすめします。
救急受診が必要なサイン
以下の症状が一つでも見られたら、すぐに救急外来を受診してください。迷わないでくださいね。
すぐに救急受診が必要な場合
- 唇、舌、爪が青色や灰色に変わっている
- 呼吸が止まる瞬間がある(無呼吸エピソード)
- とても苦しそうに呼吸し、肋骨がはっきり見える
- まったく飲もうとしない、または飲んでいる途中で息が苦しくて中断する
- おむつが8時間以上乾いたまま(脱水)
- ぐったりして反応がない
- 生後3ヶ月未満で38°C以上の発熱
早めに小児科を受診すべき場合
- ゼーゼーがだんだんひどくなっている
- 呼吸が1分間に60回以上と速い
- 飲む量が普段の半分以下
- 3日以上高熱が続いている
- 一度よくなりかけたのに急に悪化した
家庭でのケア方法
RSウイルス感染に特効薬はありません。ほとんどの場合、家庭で症状を和らげながら、赤ちゃんの免疫力がウイルスに打ち勝つのをサポートすることが治療の基本になります。
鼻づまりのケア
- 生理食塩水の点鼻スプレーで鼻水をゆるめましょう
- 鼻吸い器でやさしく鼻水を取り除きましょう(授乳前が効果的)
- 部屋の湿度を50〜60%に保ちましょう(加湿器を使用)
水分補給
- 母乳やミルクを少量ずつ、こまめに飲ませましょう
- 一度にたくさん飲ませず、少量頻回授乳がポイントです
- 6ヶ月以上なら、少量のお水を追加で与えてもOKです
- 脱水のサイン(おしっこの減少、口の中の乾燥、泣いても涙が出ない)に注意しましょう
体温管理
- 38.5°C以上なら、小児科で処方された解熱剤を使用しましょう
- 薄着にして、室温を快適に(20〜22°C)保ちましょう
睡眠の姿勢
- 赤ちゃんは必ず仰向けに寝かせましょう(乳幼児突然死症候群の予防)
- 頭を少し高くすると鼻づまりの軽減に役立つことがあります
してはいけないこと
- 医師の処方なく市販の咳止めや風邪薬を与えない(乳児には危険)
- 1歳未満にはちみつは絶対NG(ボツリヌス症のリスク)
- 抗生物質はRSウイルス(ウイルス)には効きません(細菌感染の合併時は医師が判断)
RSウイルスの予防法
RSウイルス感染を100%防ぐことはできませんが、以下の方法で感染リスクを大きく減らすことができますよ。
日常の予防習慣
- 外出後、赤ちゃんに触れる前は必ず石鹸で手洗い(20秒以上)
- 風邪の症状がある人は赤ちゃんとの接触を控える
- RSウイルスの流行期(10〜3月)は人混みを避ける
- 赤ちゃんの近くでの喫煙は厳禁(受動喫煙は呼吸器感染リスクを高めます)
- 赤ちゃんが使うもの(おしゃぶり、おもちゃなど)をこまめに消毒
- 保育園でRSウイルスが流行している時は特に注意
予防抗体注射(ハイリスク群)
- ニルセビマブ(Nirsevimab):RSウイルス予防の長時間作用型モノクローナル抗体で、1回の接種で約5ヶ月間の予防効果
- シナジス(パリビズマブ):ハイリスクの乳幼児を対象に、RSウイルス流行期に月1回の筋肉注射
- 対象:早産児、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などのハイリスク群
- 接種時期:RSウイルス流行開始前(通常秋頃)に投与開始
- 費用と保険適用についてはかかりつけ医にご確認ください
母乳育児の保護効果
- 母乳に含まれる抗体がRSウイルスを含む呼吸器感染の予防に役立ちます
- 可能であれば少なくとも6ヶ月以上の母乳育児がおすすめです
よくある質問
Q: RSウイルスに一度かかると免疫ができますか?
A: 残念ながら、RSウイルスは一度感染しても完全な免疫はできません。再感染はよくあることですが、繰り返し感染するほど症状は軽くなる傾向がありますよ。
Q: RSウイルスの検査はどうやりますか?
A: 鼻から分泌物を採取する迅速抗原検査で、15〜30分で結果がわかります。小児科や救急外来で簡単に検査できますよ。
Q: きょうだいがRSウイルスにかかったら赤ちゃんもうつりますか?
A: 感染の可能性は非常に高いです。上のお子さんは軽い風邪程度の症状で済むことがありますが、同じRSウイルスが小さな赤ちゃんには細気管支炎を引き起こすことがあります。きょうだいに手洗いを徹底させ、赤ちゃんとの密接な接触を減らしてくださいね。
Q: RSウイルスで入院したらどんな治療を受けますか?
A: 主に酸素投与、点滴、鼻吸引などの対症療法を行います。酸素飽和度が低ければ酸素療法を、飲めない場合は点滴で栄養と水分を補給します。多くの赤ちゃんは3〜5日で退院できますよ。
Q: 保育園にはいつから登園できますか?
A: 熱が下がり呼吸の症状が改善してから少なくとも24時間経過した後の登園をおすすめします。ただし、RSウイルスは症状改善後も1〜2週間ウイルスを排出する可能性があるので、保育園に状況を伝えてくださいね。
ベビスナで赤ちゃんの呼吸器の健康管理
RSウイルスのシーズンは、赤ちゃんの健康状態をより丁寧に記録して観察することが大切です。ベビスナアプリがお手伝いしますよ。
- 健康記録機能:体温、咳の回数、授乳量、睡眠パターンを毎日記録すれば、病院受診時に医療スタッフに正確な情報を伝えることができます
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- 成長発達の追跡:赤ちゃんの全体的な健康状態と発達の過程を体系的に管理できます
参考文献



