授乳姿勢5種類と正しいラッチオン(吸着)の方法 完全ガイド
母乳育児は赤ちゃんに最高の栄養を届ける方法ですが、最初から自然にできるわけではありませんよね。世界保健機関(WHO)は生後6ヶ月までの完全母乳育児を推奨していますが、多くのママが授乳姿勢やラッチオン(吸着)の問題で悩んでいます。実際、乳頭の痛みや正しくないラッチオンが母乳育児をやめてしまう最も多い理由の一つとなっています。この記事では、5つの授乳姿勢と正しいラッチオンの方法、そしてよくあるトラブルの解決法まで詳しくご紹介しますね。
授乳前の基本姿勢チェックリスト
どの授乳姿勢を選んでも、まず次の基本原則を確認しましょう。
- ママの体がリラックスしていること:背中と腕をクッションや枕で十分に支えましょう
- 赤ちゃんの耳・肩・腰が一直線:赤ちゃんの体がねじれていないことを確認しましょう
- お腹とお腹を合わせる:赤ちゃんのお腹がママのお腹を向くように密着させましょう
- 赤ちゃんの鼻が乳首の高さ:赤ちゃんの鼻先が乳首と同じ高さになるように合わせましょう
- 赤ちゃんをママの方へ:ママが前かがみにならず、赤ちゃんをママの方へ引き寄せましょう
5つの授乳姿勢
1. 横抱き(Cradle Hold)
最も伝統的でよく知られている授乳姿勢です。
方法
- 授乳する側の腕のひじの内側に赤ちゃんの頭をのせましょう
- 同じ腕で赤ちゃんの体全体を支えましょう
- 反対側の手でおっぱいをC字型に持って支えましょう
- 赤ちゃんのお腹がママのお腹に向くように密着させましょう
こんな方におすすめ
- 授乳に慣れてきたママと赤ちゃん
- 首がすわり始めた生後4週以降の赤ちゃん
- 経膣分娩後の回復が順調なママ
注意点:新生児は頭のコントロールが難しいため、新生児期には交差横抱きの方が適しています。
2. 交差横抱き(Cross-Cradle Hold)
新生児に最もおすすめの授乳姿勢です。赤ちゃんの頭を精密にコントロールできるので、ラッチオンの練習に最適ですよ。
方法
- 授乳するおっぱいの反対側の腕で赤ちゃんを抱きましょう
- 手のひらで赤ちゃんの首と肩の間を支えましょう(後頭部を押さないでくださいね!)
- 授乳する側の手でおっぱいをC字型またはU字型に持って支えましょう
- 赤ちゃんの鼻が乳首を向くように位置を調整しましょう
こんな方におすすめ
- 初めて母乳育児をするママ
- 新生児やラッチオンがまだ上手でない赤ちゃん
- ラッチオンの修正が必要な場合
3. フットボール抱き(Football/Clutch Hold)
赤ちゃんをラグビーボールのように脇に抱える姿勢です。
方法
- 授乳する側の腕の下に赤ちゃんを抱え込みましょう(クラッチバッグを持つように)
- 手で赤ちゃんの頭と首を支えましょう
- 赤ちゃんの足がママの背中側に向くようにしましょう
- 枕で赤ちゃんの体をおっぱいの高さに合わせましょう
こんな方におすすめ
- 帝王切開後にお腹への圧迫を避けたいママ
- 胸が大きいママ(おっぱいがよく見えてラッチオンしやすいです)
- 双子の同時授乳(両側に一人ずつ)
- 小さい赤ちゃんや早産児の場合
- おっぱいの一部が詰まって特定の方向から授乳したい場合
4. 添え乳(Side-Lying Position)
横になって授乳する姿勢で、夜間授乳に特に便利です。
方法
- 横向きに寝て赤ちゃんと向かい合いましょう
- 下側の腕を頭の上に伸ばすか、枕の下に置きましょう
- 赤ちゃんをママの体の方に引き寄せて密着させましょう
- 上側の手でおっぱいを持って赤ちゃんの口に乳首を合わせましょう
- 背中と赤ちゃんの後ろにクッションや丸めた毛布を置いて支えましょう
こんな方におすすめ
- 夜間授乳時(起き上がるのがつらい時)
- 帝王切開後に座るのがつらいママ
- 会陰部の痛みがあるママ
- 長時間の授乳で疲れたママ
安全上の注意:授乳後は必ず赤ちゃんを安全な睡眠環境(固いマットレス、布団や枕なし)に移しましょう。そのまま寝てしまうと、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まる可能性があります。
5. リクライニング姿勢(Laid-Back/Biological Nurturing)
ママがリラックスして後ろにもたれ、赤ちゃんがうつ伏せでママの胸の上に乗る姿勢です。最も自然な授乳姿勢として注目されています。
方法
- ソファやベッドで約45度後ろにもたれましょう(完全に横になるのではありません)
- 赤ちゃんをうつ伏せにしてママの胸の上に置きましょう
- 赤ちゃんが本能的に乳首を探してくわえるのを待ちましょう
- 赤ちゃんの体全体が重力でママに密着して支えられます
こんな方におすすめ
- 射乳反射が強くて赤ちゃんがむせやすいママ(重力が母乳の流れを調節します)
- ラッチオンを嫌がったり、乳頭混乱のある赤ちゃん
- 授乳にストレスを感じているママ(最もリラックスできる姿勢です)
- スキンシップ(skin-to-skin)を大切にしたいママ
状況別おすすめ授乳姿勢
| 状況 | おすすめ姿勢 | 理由 |
|---|---|---|
| 新生児 / ラッチオン練習 | 交差横抱き | 頭のコントロールがしやすくラッチオン角度を調整可能 |
| 帝王切開後 | フットボール、添え乳 | お腹への圧迫がない |
| 夜間授乳 | 添え乳 | ママが休みながら授乳できる |
| 胸が大きいママ | フットボール | おっぱいが見やすくラッチオンを確認しやすい |
| 射乳反射が強いママ | リクライニング | 重力が母乳の流れを緩やかにする |
| 乳頭混乱 / ラッチオン拒否 | リクライニング | 赤ちゃんの本能的な反射を活用 |
| 双子の同時授乳 | フットボール(両側) | 両側に一人ずつ抱ける |
正しいラッチオンの方法:ステップガイド
良いラッチオンは、痛みのない授乳と十分な母乳摂取の基本です。次のステップに従ってみましょう。
Step 1:おっぱいの持ち方(Cホールド)
- 親指を乳輪の上側の後ろに、残りの指を下側に置いてC字を作りましょう
- 指が乳輪にかからないように、十分に後ろに引きましょう
Step 2:赤ちゃんを刺激する
- 乳首で赤ちゃんの上唇や鼻をやさしく刺激しましょう
- 赤ちゃんが口を大きく開けるまで待ちましょう(あくびのように大きく!)
- 絶対に焦らないでくださいね — 口が十分に開いてからにしましょう
Step 3:赤ちゃんをおっぱいへ
- 赤ちゃんが口を大きく開けた瞬間に、素早くおっぱいに引き寄せましょう
- 赤ちゃんの下あごが先におっぱいに触れるようにしましょう(非対称ラッチ)
- ママが前かがみにならず、赤ちゃんをママの方へ引きましょう
Step 4:深いラッチオンの確認
- 赤ちゃんが乳首だけでなく、乳輪の大部分をくわえているか確認しましょう
- 上唇の上に見える乳輪が、下唇の下よりも多いはずです(非対称ラッチ)
- 赤ちゃんのあごがおっぱいに触れているはずです
良いラッチオン vs 悪いラッチオン:見分け方
| チェック項目 | 良いラッチオン | 悪いラッチオン |
|---|---|---|
| 口の開き | 大きく開いている(140度以上) | 狭くすぼまっている |
| 唇 | 両方の唇が外側にめくれている(アヒル口) | 唇が内側に巻き込まれている |
| くわえている範囲 | 乳輪の大部分が赤ちゃんの口の中にある | 乳首だけをくわえている |
| あご | 赤ちゃんのあごがおっぱいに触れている | あごとおっぱいの間に隙間がある |
| 音 | リズミカルなゴクゴクという飲み込む音 | カチカチ、チュパチュパという音 |
| 痛み | 最初の数秒引っ張られる感覚の後、快適 | 授乳中ずっと痛みが続く |
| 乳首の形(授乳後) | 乳首が丸いまま | 乳首がリップスティックのように斜めにつぶれている |
よくあるラッチオンの問題と解決法
乳首の痛み・ひび割れ
原因:ほとんどの場合、浅飲み(浅いラッチオン)が原因です。赤ちゃんが乳首だけをくわえると、乳首の先に摩擦と圧力が集中してしまいます。
解決法
- ラッチオンを外して(小指を赤ちゃんの口角にやさしく入れて吸引を解除)やり直しましょう
- 赤ちゃんの口が大きく開いたタイミングで素早く引き寄せ、乳輪まで深くくわえさせましょう
- 授乳後に母乳を乳首に塗って自然乾燥させましょう(母乳の抗体が治癒を助けます)
- 授乳の合間にラノリンクリームを塗って保護しましょう
赤ちゃんがラッチオンを嫌がる場合
原因:乳頭混乱(哺乳瓶に慣れた場合)、射乳反射が強すぎるまたは弱すぎる、鼻づまりなど
解決法
- リクライニング姿勢を試しましょう(赤ちゃんの本能的な反射を活用)
- スキンシップ(skin-to-skin)を十分に行いましょう
- 射乳反射が強い場合は、最初の射乳を少し流してからくわえさせましょう
- 静かで薄暗い環境で授乳を試みましょう
舌小帯短縮症(Tongue-Tie) / 上唇小帯短縮症(Lip-Tie)
確認すべき症状
- 赤ちゃんの舌の裏の小帯が短く、舌を十分に出せない
- 泣いたり舌を出そうとすると、舌先がハート型に見える
- ラッチオンが繰り返し浅くなり、乳首の痛みが続く
- 授乳中に「カチカチ」という音がする
- 頻繁に授乳しているのに体重の増加が遅い
解決法
- 小児科や耳鼻咽喉科で舌小帯の評価を受けましょう
- 必要に応じて舌小帯切開術(frenotomy)を検討しましょう — 簡単な処置です
- 処置後すぐに授乳が改善するケースが多いですよ
ラッチオンの正しい外し方
赤ちゃんのくわえ方がよくない時に、無理に引き離すと乳首を傷つけてしまいます。
正しい方法
- 清潔な小指を赤ちゃんの口角にやさしく入れましょう
- 吸引が解除されて「シュッ」という音がします
- 赤ちゃんをおっぱいからやさしく離しましょう
- 正しいラッチオンでもう一度くわえさせましょう
専門家の助けが必要な場合
次のような状況では、助産師や母乳外来の助けを求めましょう。
- 授乳するたびにひどい痛みがある場合
- 乳首がひび割れたり出血がある場合
- 赤ちゃんの体重が適切に増えていない場合
- 授乳後も赤ちゃんがずっとお腹を空かせている場合
- 舌小帯や上唇小帯の問題が疑われる場合
- 乳腺炎(乳房の感染症)の症状がある場合
ベビスナで授乳管理
母乳育児を成功させるには、授乳の記録が大切です。ベビスナアプリで体系的に管理してみましょう。
- 授乳記録機能:左右のおっぱいごとの授乳時間、回数を記録して、授乳パターンを把握できます
- 授乳タイマー:左右のおっぱい切り替えタイマーで、バランスの良い授乳ができます
- AI授乳相談:母乳育児について気になることがあれば、AIチャットボットにすぐ相談できますよ
- 成長発達の追跡:赤ちゃんの体重変化を記録して、母乳摂取が十分かどうか確認しましょう
よくある質問
Q: 授乳が痛くても我慢すべきですか?
A: いいえ、絶対に我慢しないでください。最初の数日間の軽い引っ張られる感覚は正常ですが、授乳中ずっと痛みが続いたり乳首がひび割れたりするなら、ラッチオンに問題がありますよ。ラッチオンを外してやり直すか、授乳の専門家に相談しましょう。
Q: 片方のおっぱいだけ好む赤ちゃん、大丈夫ですか?
A: 片方だけで授乳すると、おっぱいの大きさに差が出たり、飲まない方の母乳量が減ったりすることがあります。嫌がる方を先にくわえさせたり、別の授乳姿勢(フットボール抱きなど)を試してみてくださいね。
Q: 授乳中に赤ちゃんが寝てしまったらどうすればいいですか?
A: 新生児が授乳中に眠ってしまうのはとても多いことですよ。赤ちゃんの足の裏をくすぐったり、背中をやさしくさすったり、服を少し脱がせて涼しくしてあげると目を覚ますことがあります。赤ちゃんが1日8〜12回授乳し、1日6回以上おむつが濡れ、体重が順調に増えていれば心配いりませんよ。
Q: 哺乳瓶と母乳育児を併用できますか?
A: はい、できますよ。ただし、乳頭混乱を防ぐために、母乳育児が安定してから(通常は生後3〜4週以降)哺乳瓶を導入するのがおすすめです。哺乳瓶を使う時は、スローフローの乳首とペースフィーディング(ペース配分授乳)を実践しましょう。
参考文献

医療上の免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。赤ちゃんの健康について心配な点がある場合は、必ず小児科専門医にご相談ください。
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